行われたのは先週の日曜日。え、10日前か。忘れないうちに、とか言っておきながら随分時間が経ってます。ちょっとさぼるとあっという間に時間が経つという証拠。4月からのホールツアー「Step 123 Season2”Snazzy”」の東京公演でした。
まだ日程は残っているので詳しい内容は控えますが、素晴らしかったです。何が素晴らしかったか。当たり前ですけど、歌と演奏の一体感。生演奏。楽器の音やリズムやフレーズが心地いい。コーラスも含めデジタル器材に頼ってない。
これみよがしじゃないけれど自然に身体が動き出すようなツボを心得た職人技が詰まってる。アルバムの軸になっていたソウル・ブルースの粋。マーチンさんの歌との間が気持ちい。特にドラムとの呼吸が何とも絶品でした。
そう言えば、アルバム「Snazzy」は世代を超えたソングライターが参加していて、その中につのだ・ひろさんが書いた曲があったことを思い出しました。「メリージェーン」のヒット曲で知られる歌うドラマーのパイオニアですね。
アルバムのインタビューでつのださんは最初の憧れだったという話をしてました。マーチンさんはドラマーだったんですよ。ドラマー出身のヴォーカリストの歌は気持ちいいというのが僕の持論なんです。
拓郎さん、浜田さん、達郎さん、大友さん、みんなドラマーだった歌い手。ドラムとの微妙な間を縫うような歌が気持ちいい。そういう歌が聞ける曲が多かったせいもあるんでしょうが、マーチン節を堪能できました。
そういう歌はボカロ系の若いアーテイストでは聴けませんからね。艶っぽい熟成感がすごかった。身体も動いてましたし。WOWOWの生放送が入っていたせいもあるんでしょう。心技体の一体感は今の充実ぶりを感じさせました。
特筆したいのは、新作アルバムのツアーだったこと。まもなく70歳になろうとする人が新作アルバムの曲で構成されたホールツアーを行っている。このことの素晴らしさ。ヒット曲のあるベテランと呼ばれる人たちは過去の曲の方が受けるんです。
そうなっていない。新作の曲をホール中がコール&レスポンスで応えている。その熱気の現役感。昔の曲を聞きに来てない。もちろんサービス精神は旺盛な人ですからやりますけど、それを売り物にしてない潔さ。清々しかったです。
で、ホールツアーですよ。ビッグになればなるほどホールから遠ざかってゆく。地方も回らなくなる。大都市の大会場の方が効率もいいでしょうし、日程も楽になる。そこに行ってない。そういう68歳です。
「Step 123」というのは「古希」に向けたステップ。今年はSEASON2。来年はStep3。最終ステップ。その先に70歳とシャネルズからのデビュー45周年が待っている。新作アルバムもあるんじゃないでしょうか。
今が見どころ、旬のラブソングの王様(笑)。来年も再来年も楽しませてもらえそうです。というわけで曲です。アルバムの中での最大の聴きどころ。いきものがかりの水野良樹さん渾身のバラード「Beautiful」を、じゃ、お休みなさい。
7月21日、氷室京介さんのデビューした日。88年ですね。去年はデビュー35周年でした。10年前の7月19日、20日と行われたのが横浜スタジアム。伝説の二日間ですね。ツアーの最後の周南市で「氷室京介を卒業する」と言った後のライブでした。
でも、一日目のリハーサルの時に雨に濡れたモニターで足を滑らせて転倒。ろっ骨を折ったにもかかわらずそんな素振りは見せずに行われた二日間。二日目は雷とゲリラ豪雨でライブは中断、観客も全員避難するという異常事態に見舞われました。
再開したステージでこのままでは終われない、必ずリベンジすると宣言して行われたのが2016年のドームツアー「LAST GIGS」だったわけです。で、今日、デビュー日を記念して10年前の横浜スタジアムの映像が上映されました。
場所は横浜スタジアムに近い関内ホール、だったのですが、残念ながら猛暑で断念。配信で見ておりました。10年前は二日間のライブをリハーサルから客出しまでずっと取材していたのにと思うと嘘のような今。
10年と言うのはそういう時間なんでしょうね。映像もそういう壮絶さを強調しない編集だったこともそういう「時間」を感じさせたんでしょう。あんなに命がけのライブはあれ以来思い当たりません。
実は昨日もNACK5が終わってから横浜スタジアムのMrs.Greenappleのライブに行く予定だったのですが、これも断念。本来は10年前と同じように横浜で過ごす二日間になるはずだったんですけど、これがあの日から10年後の姿ですね。
この後の10年というのはもう考えられない年になってますし。氷室さんを見ることはもうないのかもしれないな、と思ったり。殺人的な暑さは人を悲観的にします。明日も36度だそうです。何とか乗り切りましょうね、お互いに。
というわけで、あの雷に照らしだされた横浜スタジアムの「魂を抱いてくれ」を。あの曲の前のMCは、改めて色んな意味を含んでるなあと思いました。「伝説」は誰かが語ることで「伝説」になる。あのライブはどんな風に残ってゆくんでしょうね。
氷室さんのフィルムコンサートは単なる上映会じゃなくてスクリーンを照明などで演出するという立体的なものなので現場にいないと臨場感は味わえません。じゃ、お休みなさい。
何だかずいぶん空いてしまいました。今年の一つの傾向ですね。傾向というか流れというか。そういう毎日になってきてるということかもしれません。夜に早く寝ようという意識が強くなってる。と言ってもせいぜい日付が変わる前、というくらいですけど。
その前に書こうとするとやっぱり1時間は取られる。まあ、そこまでは今までも同じなんですが、書いた日は寝つきがよくない。これは今までなかったことですね。わーっと走り書きのように書きなぐって、あーすっきりした、とならなくなってる。
これも年齢ということなんでしょう。以前は、仕事の原稿を書いた後によく書く気になれますね、とか言われたりすすると、ツアー中のヴォ―カリストもライブの後にカラオケに行ったりするじゃないかと答えたりしてたんです。
そうですよね。さすがにそんな70代のアーテイストはもういません(笑)。それと同じなんでしょう。仕事であれ遊びであれ疲れるものは疲れる、という結果でしょうね。仕事はしてますよ。備忘録ですから、それを書かないと忘れてしまう。
京都から戻って次の日にあったのが坂本冬美さんのインタビュー。明日、大宮のNACK5で完パケがあります。6月26日に出たアルバム「想い人」についてです。前作の「Love Emotion」以来、3年ぶりのポップスアルバムです。
前作もそうでしたけど、NACK5「J-POP TALKIN’」には何度も出て頂いているんです。いわゆる演歌・歌謡曲の歌い手さんでは唯一かな。話していて楽しい。友達と喫茶店で音楽談義をしてるような気分になれる。
裏表のない明るさと屈託のない人懐っこさ。そして、音楽好き。歌の話をしてれば何時間でも、みたいな感じがある。アルバムがポップスのカバーですから普段、そういう話をする機会がそんなに多くないのかもしれませんね。
カバーアルバム「Love Songs」は、もうシリーズが6枚かな。今回の「想い人」もやはりラブソングではあるんですが、これまでとかなり違うんです。なにしろ全曲が男性の歌。それも去って行った人を思う歌が選ばれている。
「男歌」というのは彼女の十八番。でも、演歌系の歌が歌う「男」にはない想いの募り方の曲ばかり。虚しさや儚さや哀しさを抑えた男の歌ばかり。それが合ってるんです。中にはオリジナルよりも冬美さんらしい曲もある。
アルバムが10曲で、桑田さんの「月」とサザンの「Oh!クラウデイア」があったりする。今回からプロデユサーが桑田さんが書き下ろした「ブッダのように私は死んだ」を作った時の方だそうですけど、そういう意図が引き継がれてる感じでした。
もちろん、その二曲は絶品ですが、同じように聴きどころは石崎ひゅーいさんの「花瓶の花」じゃないでしょうか。「月」も「Oh!クラウデイア」も、切々と込み上げる感情を綴った曲ですからね。それが新しい歌い方に鳴ってる感じでした。
というような話を全曲にしてくれました。彼女は、去年、一昨年、身近な方の死を経験されてます。そういうことも歌の説得力になっている気もしました。でも、インタビューではそういうことは触れてません。ともかく歌を、という番組です。
放送は31日と7日ですね。で、その後にも色々あった一週間。おいおい書いていきますね。曲ですね。冬美さんの「花瓶の花」を。じゃ、お休みなさい。
昨日、行われました。加藤和彦さんのトリビュートコンサート。いいコンサートでした。加藤さんがなくなってから15年。今まで彼のことを偲んだコンサートは北山修さんが企画したものがありましたけど、そうじゃないものとしては初めてでしょう。
出演したのはフォークデユオ、ハンバート・ハンバート、オリジナルラブの田島貴男さん、坂本美雨さん、高野寛さん、奥田民生さん、小原礼さん、GLIM SPANKYという7組。アレンジもしたバックバンドのリーダーは高田漣さんという顔ぶれ。
つまり生前の加藤さんと親交があったのは、元ミカバンドや加藤さん最後のバンド、ビタミンQのメンバーだった小原礼さんだけ。フォークルの「悲しくてやり切れない」をカバー、2007年の第三次ミカバンド結成のライブに出ていた民生さんくらい。
そういう世代が若い。北山さんが中心になるとやっぱりフォークルの色が強くなりますけど、もっとフラットに音楽家・加藤和彦を見ている。でも、彼らが歌う曲の選曲や解釈のはちゃんとした背景やストーリーがある。
会場が京都ロームシアター、元の京都会館。加藤さんは京都生まれで東京育ちで大学も仏教系の京都龍谷大学。北山さんや作詞家の松山猛さんは京都駅を中心に自転車で行き来できる区域に住んでいた。地元ですね。
だからミカバンド中心という焦点の当て方がどう受け入れられるんだろうとは思っていたんです。でも、杞憂でした。その要因がナレーションでした。それぞれの出演者や選曲に関してのストーリーが語られる。
15日に東京のオーチャードホールがあるので、あまり書きませんけど、たとえば、坂本美雨さんの時は、サデイステイックミカバンドからの加藤さんとYMO、美雨さんのご両親がどう関わったかが語られたりする。
それを受けて美雨さんが曲の思い出を語りながら歌うわけです。なぜこの人加藤さんのトリビュートに参加してるかが、客席に伝わる。そういう空気が深まる中でフィナーレを迎える。単に好きな曲をやります、というコンサートじゃなかったんです。
客席だけじゃなく出演者も納得しているトリビュートコンサート。こういうコンサートは初めて経験する感じでした。加藤さんの元へ想いよ届け。美しいコンサートでした。15日の東京はもっと色んな反応があるんじゃないでしょうか。
企画制作はFM COCOLO。というわけで、曲です。選曲は発表されてるのかな。だったらいいですね。機会があればご覧になって頂けると。ハンバート・ハンバートの「帰って来たヨッパライ」。意外性の極致でした。じゃ、お休みなさい。
大阪に来てます。FM802で用事があって今、ホテルに戻りました。暑かったです。東京駅は熱風が立ち込めていて立っているのもしんどい。おかげで駅弁も買えずに乗るという悲惨な2時間半になってしまいました。
昨日の夜は渋谷のDEUO MISIC EXCHANGEでPANTAさんの一周忌コンサート。ライブ自体は充実していていいコンサートだったんですが、何と4時間。昨日の昼間は39度ですからね。予定されていたFM COCOLO「J-POP LEGEND CAFE」の収録も延期。ライブは夜だからとそっちは出かけていきました。
PANTAさんゆかりのジャンル違いのミュージシャンが集まった。と言っても僕の知らないミュージシャンとかバンド仲間が多かった。PANTAさんと白井良明さんと一緒にやってるというドラムを叩くお笑い系の人とか。
普段本人が歌わないような曲も聞ける。今の頭脳警察が若手の実力派が集まってるということが実証されました。演劇関係も多かったのかな。そういう人たちだからの劇的なパフォーマンスが本人の歌では気づけないようなスケールの大きさを表現していたり、かと思えばデビュー当時からの盟友、鈴木慶一さんが登場したり。
交友関係の広さと音楽の多彩さ、そして彼が歌ったことのメッセージ。何と言っても発売中止になった最大の要因。「世界革命戦争宣言」を筋肉少女帯の大槻ケンジさんが歌ったというか、と読み上げたというか。圧巻でした。
都議選の翌日だったせいもあるでしょう。改めて彼が歌ってきたことがリアルに聞こえる。世の中が変わってない、むしろどんどん危惧した方に行ってる。それを予言するかのような曲ばかり。彼の歌は死んでないです。
そういう存在感と音楽家としての多面性。最後は最後のレコーデイングアルバムとなった「東京オオカミ」の中の曲をスタジオで歌う本人映像もあるという盛りだくさんな4時間でした。明日は加藤和彦さんのトリビュート。
昨日とはかなり違う質のコンサートになるでしょう。というわけで曲ですね。PANTAさんの「つれなのふりや」。慶一さんが盛り上げてました。じゃ、お休みなさい。