4月は拓郎さんと陽水さん、5月は杏里さんと今井美樹さん、いよいよ三か月目の収録に入りました。通算9週目、6月一週目の特集は「憂歌団」、日本語のブルースバンドの王様と言っていいでしょう。目下休止中、メンバーお二人がなくなってしまってもうバンドとしての活動は不可能になってしまいました。
彼らがフォーライフに在籍していたのは83年から92年、その間にオリジナルアルバムが6枚、ミニアルバムが1枚、ライブ盤が二枚出てます。憂歌団もデビューが75年ですから50周年。その間に一番長く所属していた、一番多くリリースしたのがフォーライフなんです。
彼らは大阪のバンドですし、そういうイメージ。フォーライフはもっとメジャーなイメージがありましたから、意外に思われる方もいらしゃったと思いますが、いい曲を沢山残してます。ゲストに来てくれたのがボーカルの木村充揮さん。全アルバムから選曲してくれました。
実は、昨日、高円寺のJIROKICHIというライブハウスで木村さんのソロコンサートがあったんです。今日、インタビューですから見に行かないわけにもいきません。隅の方で見せて頂いたんですが、いやあ、面白かったです。休憩を挟んでの二部構成。前半はギターだけ、後半はハモニカを入れて二人だけ。
休憩時間を入れると2時間50分。ギターと歌だけですよ。客席の掛け声や野次に反応してまるで掛け合い漫才のように客席を盛り上げてゆく。それもアルコールのおかわりを要求しながら。高田渡さんもそういうライブでしたけど、もっと饒舌でやりとりを楽しんでる。関西弁特有のぶっちゃけ方は独壇場でした。
憂歌団がバンドですからそこまで自由には出来ませんけど、怖いものなし。どんな曲も人情味が溢れてる。関西弁なんですけど、歌はそんなに関西色はありませんからね。時には童謡のような無邪気な曲があったり。あどけない曲や愛嬌たっぷり無敵のブルースシンガーという感じでした。
で、今日はスタジオでの会話。あれだけのライブをやった翌日とは思えない軽妙なトークで語ってくれました。メジャーなフィールドだから生まれたブルースとポップの融合。当時、フォーライフでは「アーバン・ブルース」という言葉を使っていたと思います。憂歌団再評価になれば、という特集でした。
というわけで、曲です。「胸が痛い」。昨日もやってましたけど、ブルース度はより濃くなっておりました。オンエアは6月2日です。じゃ、お休みなさい。
昨日の夜、カメラマンの内藤順司さんからの連絡で知りました。元「シンプ」の大越さん。ずいぶん会ってなくて、体調が思わしくないという話は伝わっていて、元気かなあと思っていた矢先でした。
去年の秋にやはり元「シンプ」の編集をしていた古矢徹さんがなくなってますから立て続けです。古矢さんは浜田省吾さんのファンクラブ会報誌の編集をやっていたのでライブ会場では頻繁に会ってましたけど、大越さんは業界を離れてましたから。
「シンプ」がなくなった後に彼の会社、自由国民社がユーキャンに吸収されたんですね。その時の面倒な問題に嫌気がさしたんでしょう、東京を引き払って湘南の方に移って図書館勤務をしてました。というのも単なる情報。そうなってからは会ってません。
「シンプ」は、色んな音楽雑誌がある中で一番近しかった雑誌でした。「GB」はコラム誌だし、「パチパチ」はグラビア誌。しかもライターや編集者も女性が多かった。もちろん女性が多いのがいけないというわけではないですよ。
誌面の考え方というのかな。評論志向が一番強かったのが「シンプ」だった。「読み物」の意識ですね。大越さんはジャズ青年でジャズ評論を通過してた人なんで、そこの文化志向が根底にありました。長い原稿を書かせてくれた雑誌ですね。
やっぱり忘れられないのは、拓郎さんと浜田さんと甲斐バンドですね。彼は息子さんに「拓郎」の「拓」をつけたりしてましたし。でも、彼には結構、嫌味も言ってたんです。特集の一番メインの記事を自分で書いてたことに対してです。
何で僕らに書かせてくれないのかなあといつも思っていて、「編集長がメインの記事を書いてる雑誌はつぶれるよ」とかね。雑誌がなくなってからもフリーで書けばとも言ったりしましたけど、そういうタイプじゃなかったですね。
フリーの物書きはどこかいい加減なところがないと務まらない。真面目な人で好き嫌いが激しい人でしたから、自覚していたんだと思います。でも、もっと話したかった一人です。また一人、同じ時代を過ごした友人がいなくなってしまいました。
すごいなあ、と呆れますよ。ほんとに立て続け。年明けには「ヘイヘイヘイ」や「LOVE LOVEあいしてる」「堂本兄弟」の構成をやっていた放送作家の津曲裕之さん。先月かな。FM TOKYOの延江浩さん。作家で編集者だった森永博志さん。
みんな僕より年下。君たち、早すぎだよ、と文句を言いたい。大越さんは家族葬になるそうですが、明日、顔を見に行ってきます。曲ですね。彼が好きだった拓郎さんの曲「あなたを送る日」を。じゃ、お休みなさい。
FM COCOLO 「J-POP LEGEND CAFE」の三か月ぶち抜き「フォーライフ50周年特集」、5月は杏里さんと今井美樹さん。今、放送されているのは杏里さん。後半の二週が今井美樹さん。明日、収録です。
今井さん、ロンドン在住。でも、ツアーの為に帰国しているようでゲストに来て頂けることになりました。彼女が在籍したのは86年のデビューから10年間。その間にチャート一位になったアルバムが4枚、シングルが3曲あります。
創立の4人が語られる中で経営的な屋台骨を支えたのが杏里さんと今井さん。改めてて聴いてもあの時代の空気を反映した名盤がいくつもあります。という僕も当時は4人寄りでしたから横目で見ている感じだったので改めて聴き直していて新鮮でした。
これも今頃ですが、彼女の歌声は素敵ですね。透明で伸びやかで、明るくて花がある。声が光を放っている。80年代後半から90年代のアルバムはドラムが青山純さんとか山木秀夫さん、ベースが高水健司さんはや美久月千晴さん、ギターが今剛さん。
世界的に注目されているCity Popの立役者たちの演奏が彼女の声を引き立ててくれる。その間にボサノバのようなバラードもある。良質なポップスというのはこういう音楽だよねえ、と思わせてくれる。
そういう時期を経て90年代半ばに布袋さんと出会ってまた新しい世界を獲得してゆく。で、フォーライフを離れる。デビューからの10年の成長は著しいものがあります。明日は、彼女本人と当時の担当デイレクターが一緒に話をしてくれます。
そんな風に振り返るのもひょっとして最初で最後になるかなという収録です。オンエアは5月19日と26日。おう。来週じゃん(笑)。ということで、二週分、頑張ります。曲ですね。何と言ってもこの曲。今聴いても涙ぐみたくなります。名曲中の名曲、「PIECE OF MY WISH」を。じゃ、お休みなさい。
さて、何の三題噺でしょうか。と言っても何の関連性もありません。この連休でやっていたことです。原稿を書いてました。イベントやライブもほとんど行きませんでしたから、集中していたと言えばそれなり、ということになるわけですが。
が、どっか味気ない。結局、ライブで行ったのは、八王子で行われたファンキー・モンキー・ベイビーズだけ。彼らの地元、八王子市内だけで4カ所という地元密着ツアーの最終日。何と言って生まれ故郷ですからね、盛り上がってました。
彼らの最新作の時はNACK5に来てくれましたし、八王子でやるのは見たいと前々から思ってたこともあってお誘いに二つ返事でした。八王子、近いですしね。連休のフェスはもう体力的に無理です。そこはもう諦めがつきました。
で、原稿ですよ。それぞれ媒体も違いますし、原稿の質も違います。でも、力は入りました。ミスチルは「miss you」ツアーについて、BEGINはデビュー35年という区切りについて。HEAT WAVEは、共同通信の「90年代ノート」です。
「90年代ノート」は折り返し、1995年に差し掛かってます。連休前に書いたのがtrfについて。1月1日に出たのが彼らのシングルで最も売れた「crazy gonna crazy」。史上最速の1000万枚突破したという年ですね。
で、HEAT WAVEは「1995」というアルバムについて。ソウルフラワーユニオンと共作した「満月の夕」が入ったアルバムです。1月17日に起きた阪神淡路大震災の避難所を一足先に慰問で回っていたのがソウルフラワー。
ソウルフラワーの中川敬さんに誘われて行動を共にするようになったのがHEAT WAVEの山口洋さん。「満月の夕」は二人が曲を書いて、それぞれが詞を書いて歌ったという競作曲。震災という非常事態を前にしたそれぞれの距離感が鮮明です。
HEAT WAVEの方は当事者になりきれずに見ている立場の哀しみや祈りのような曲で、ソウルフラワーは焚火の輪の中で一緒に踊っているような陽気さもある。震災が生んだ名曲の一つでしょう。1995年、地下鉄サリン事件もありました。
HEAT WAVEは好きなバンドだったんですが、メジャーを離れてからはご縁がなくなりました。そういう贖罪の気持ちも込めた原稿だったかもしれません。「1995」は8月に30周年盤がアナログで出ます。
連休、いかがでしたか。休める時に休まないと続かないという年齢です。僕は何とかやることだけはやりました。というわけで来週はNACK5とFM COCOLOの収録が重なってます。淡々と頑張ります。曲ですね。
HEAT WAVEの曲はミスチルの桜井さんと小林さんがやっているbank bandが二曲カバーしてます。「トウキョー・シテイ・ヒエラルキー」と「明日のために靴を磨こう」。やっぱり後者を。じゃ、お休みなさい。
FM NACK5「J-POP TALKIN’」のインタビュー。5月16日に4枚目のアルバム「曖昧BLUE」が発売になります。番組の登場は3年ぶり。初めてお会いしたのは5年前、「魔法の絨毯」が動画再生サイトで爆発的に見られていて総再生回数3億回となった時。今回は3回目の登場ですね。
5月16日というのは彼の30歳の誕生日。去年、二人目のお子さんが生れて2時の父になった、というようなことはこういうインタビューでは触れないことも多いんですが、彼の場合は違いますね。そもそもの「魔法の絨毯」だけじゃなく彼が書いているラブソングは全部、奥様のことが歌われている。
高校の二つ上の先輩。当時は彼女が髪の毛をレインボーカラーにしていて彼はピンクだったかな。音楽の道に進むと決めたものの思うような結果が出せない時にも支え続けたという最愛の人ですから、自分の音楽といわば私生活がモチーフ。彼女初め家族や友人が歌になってる。30歳で二児の父というバックボーンがある。
アルバム「曖昧BLUE」は2年ぶり。その後にカバーアルバムを出したりホールツアーも成功させたり、ドラマも出演したのかな。そういう経験が全部歌に表れている。自信と余裕が歌い方や声に溢れている。あんなに艶があってふわっとした包容力を持った声の若いシンガーソングライターは少ないです。
松本隆さんのトリビュートアルバム「風街に連れてって」で大滝詠一さんの「君は天然色」を歌った時にもいい声だなあ、と思いましたが、そのスケールが一段と大きくなった感じです。スモーキーなんだけどカラフル。自在なんだけど揺るがない。インタビューの声もそうでした。
声だけじゃないですね。話がうまい。歌の背景や内容。エピソードを的確に説明してくれる。人を惹きつける話術というのはステージで鍛えられたこともあるんでしょうが、天性のものでしょうね。そんな会話がお楽しみ頂けると思います。オンエアは5月21日と28日です。
雨、すごかったですね。渋谷も青山も横殴りでした。気温も低かったですし。連休後半。いきなり夏日になったりしないだろうな、とびくびくしながら天気予報を見てます。明日は原稿ですね。というわけで曲を。川崎鷹也さんの「曖昧BLUE」。殺し文句という言葉はありますけど、”殺しフェイク”という感じの歌です。じゃ、お休みなさい。