いやあ、良かったですねえ。というよりお見事でした。声量といい力強さといい、音の美しさといい、一点の曇りもない、という感じでしたね。気合が違っていたんでしょうか。やっぱり残り少なくなって思い残すことのないライブをやろうという覚悟なんでしょうか。
代々木よりも、数段充実していたというか。あの頃はまだ手探り感もあったんでしょうね。先は長いし、夏も控えていたし、どこまでやれるんだろうか、というプレッシャーが気負いになったりしていたのかもしれません。今日はそういうのを全て乗り越えてきたという確かさに満ちてました。
いろんな意味で素直になっているんでしょうね。82年の武道館10日間のこともとっても自然に懐かしんでいる感じでしたし。デビュー当時の話にしても過剰な感傷も脚色もなく、淡々としていて、それが説得力になってました。こういうのを完成度というんでしょうね。
明日もあるので、内容には触れませんが、MCでほほえましかったことを一つ。土曜日に京都で行われた、くるりが主催するイベントで細野晴臣さんと一緒になって「どっちが先に行くかわからないけど、お線香はあげに行くよ」というやりとりをした、という話がありました。
昨日のお通夜の後ですからね。それも、ことさらな思い入れとしてではく、軽い世間話になっていたことが妙にリアルでした。どっちが先にしろ、そんなに遠い話じゃないわけですから。そう思いつつあれだけのライブができるんですからね。感動するわけです。
オフコースとはっぴいえんどはあんまり接点がないと思ってたんですが、「僕の贈り物」は、のちに細野さんとYMOを組む高橋幸宏さんがドラムを叩いてたんですってね。別の道を歩いているようで、どこかでつながっていた。そんな時代だったんでしょう。
今は、仲の良い人たちは、すぐに集まったり、集団行動をするんでしょうけど、当時は、そうじゃなかったんですね。特に仲は良くないけど認め合っているという関係かな。一緒にやったこともないし、やれる接点もないけれど、あいつのことは認めている、という。
多分、人間関係って、”好き・嫌い””仲が良い・悪い”という二者択一だけでなく、”好きじゃないけど認めている”とか”仲は良くないけど認めている”、という関係もあったんだと思います。小田さんと細野さんもそういう距離感だったのかなと思いました。
そういう人同士の方が、返ってその人のことを理解してたりということもあるんでしょうしね。さて、明日は、「J-POPマガジン」、ASKAのインタビューです。小田さんとは仲も良いし、認め合っている関係ということになりますか。
でも、「apbankfes」では、小田さんは、前日にASKAさんが客席に降りたという話を聞いて、じゃ、俺は客席を走るしかないと思ったという話もありましたから、認め合っているだけじゃなくて張り合っていることにもなるんでしょうか(笑)。というわけで、東京ドームも楽しみです。
今日の曲ですね。「たしかなこと」を。同じ時を同じ風に吹かれて生きている。それが一番確かなことかもしれません。じゃ、おやすみなさい。