昨日のコメントを読ませていただいて、ふっと浮かんできたのが、この曲でした。大阪の「春一番」と言えば、デイランⅡでしょうね。僕はたった一回しか行ったことがないんで、あんまり偉そうなことも言えませんけど、この曲は好きでした。
あ、デイランⅡというのは、東京のはっぴいえんどと並んで、かな、並ばないか。まあ、日本語のオリジナルのフォーク&ロックという意味では同じ土俵にいたグループですね。「プカプカ」という”ヒット曲”もあります。”俺のあんこは煙草が好きで、いつもプカプカプカ”というあれです。
昔、よくゴールデン街で歌われていました、という話しではなくて、「サーカスにはピエロが」ですね。古いですよ、話しは。1971年に「昨日の思い出に別れをつげるんだもの」というデイランⅡのアルバムがあるんですが、そのタイトルは「サーカスにはピエロが」の一節でもあります。
作詞作曲は西岡恭蔵さん。のっそりとした象のような雰囲気の人で、象さんと呼ばれていました。何度か話したこともあって、お宅にもお邪魔してるな。奥様と一緒に僕がやっていた雑誌のモデル(!)になってもらったこともあります。
70年代、何年頃かなあ。73年くらいかな。代々木に「アルタミラ」という週末はライブハウスになるレストラン風なお店がありました。そこを経営していたのは、僕が、こういう仕事をするようになるきっかけになった大学の先輩で、Tエージェンシーの映像プロデユーサーでした。
彼が、フリーになって同僚と始めた店で、僕らもしょっちゅう、そこにたまっていたんですが、恭蔵さんが、割と何度も出てくれていました。下駄を履いて飄々とした風体に味がありました。ギター一本で歌う「サーカスにはピエロが」が良かったんですよね。
彼のソロアルバム「デイランにて」の一曲目にも入ってますよね。デイランⅡのよりも、そっちの方が好きだったかな。あの曲の、風に吹かれているようなはかなさ、みたいなのは、あの頃の気分でした。旅に出たいけど出られない、誰も一緒に行く人がいない、ただ、膝を抱えて座り込んでいる、”いつか”を待っている、みたいな。
友部正人にもありましたね、「街は裸で座り込んでいる」。「一本道」のB面だ、って、どうしたんだ、この70年代気分は(笑)。時々、ひょっとしたきっかけでそうなります。昨日のコメントが引き金でした、ん、これはツイストだ(笑)。引き”銃”、ですけどね。
西岡恭蔵さんは、矢沢永吉さんの「トラベリン・バス」の作詞者でもありますよ。旅ものを書かせたら、独特の味がありました。なくなってしまいましたね、奥様の後を追ったんですよ。不義理な僕は、追悼コンサートにも伺えませんでしたけど。そう、「アルタミラ」をやっていた先輩も、他界してしまいました。
何だかしんみりしてきましたね。さっき、トミーと一周してきた時は霧雨でした。それがいけなかったかな。今日の一曲、加山雄三の「霧雨の舗道」、じゃないや、やっぱり、西岡恭蔵さんです。「サーカスにはピエロが」を。昨日の思い出に別れを告げましょう。今日はB’zの武道館でした。過渡期な感じがしました。じゃ、お休みなさい。