みゆきさんの二週目、いかがでしたでしょうか。言葉ということについて、あそこまで突っ込んで考えているのが彼女らしいと思いましたが。「重き荷を負いて」、どんな風に聞かれるんでしょうね。”頑張ってから死にたいな”というフレーズは色んな年代で受け止め方もあるんじゃないでしょうか。
あのインタビューは50分以上あって、それをデイレクターの今野さんがかなり苦心惨憺しなが切った張ったとして編集するんですが、オンエアには入らなかった発言で、「ララバイSINGER」という曲に関してとっても印象的な発言があったんですよ。
「ララバイSINGER」の中に”どんなにひどい雨の中でも、自分の声は聞こえるからね”という一節があるんですね。その言葉について話していたときに彼女が「後はあなたの歌を歌ってくださいね」ということなんですよ。と言ってたんです。
ララバイは確かに、傷ついた人に向けた歌ううたなんですが、彼女は、私の歌だけではなくて、自分の歌も歌ってください、とも言ってるわけです。他の人の歌が聞こえなくなって、歌ってくれる人がいなくなっても、自分の声は聞こえますよ、と言ってるんですね。
言葉に対して自分が取らないといけない責任なんて、どのくらいのものだろうと思った、という”裸の言葉”で歌われたアルバム、が「ララバイSINGER」ということになるんだと思いますが、最後は聞き手にも投げ返しているアルバムでもあるんだなと思った次第です。と言っても、まだ殆どの方が聞かれてないわけですから、あ、そう、という感じでしょうけどね。
みきゆさんを”女・拓郎”と思った時期がありましたけど、今度のアルバムを、男性シンガーソングライターはどんな風に聞くんだろうと思います。”覚悟”という意味で、彼女は誰よりも腹を括っているのかもしれません。アルバム、是非、聞いてみてください。
終わってからNACK5で原稿を書こうと思ったら、MDに電池がなくて聞けずで、買いに行くのも何だなと思って、そのまま渋谷に行って喫茶店に入りました。宇田川町に抜ける通りに静かそうな喫茶店があったんで入ったら、静かでしたけど、酔った方お断りとか、トイレに”自分の家のように丁寧に使ってください”と被害者意識満載の張り紙があったり、すごかったですね。
そんなに酔った客や、訳の分からない客が多いんだ、と改めて思ったんですが、渋谷はすごいなって、お上りさんみたいですけど(笑)。土曜日だからかな。でも、センター街の奥のバー「門」は健在ですね。入りませんでしたけど。
もう20年以上前、甲斐バンドがあの店をよく使っていたことを思い出しました。81年に出た甲斐バンド写真集「1982BEATNIXS」に、あのバーの前での夜明けのシーンが写ってますけどね。渋谷の街にとっても良い時代だったなと思います。
そんなわけで、今日最後の曲です。甲斐バンドの話しになるとは思わなかったな。師走の街角の歌です。「かりそめのスイング」。そうだ、娘さんがデビューしましたね。そういう年になりました。ちょぴり複雑ですね。じゃ、お休みなさい。