FM NACK5「J-POP TALKIN’」の今週と来週のゲスト。27日に新作アルバム「First Cry」を発売した竹原ピストルさん。5年ぶりの番組登場でした。新作アルバムは生まれて初めての鳴き声。「産声」を意味してます。
竹原さんは、99年にフォークデユオ、野狐禅を結成、2003年にメジャーデビュー。2009年に解散してソロになりました。それまでの事務所、オフィスオーガスタを離れてのインデイーズ活動。単身、ギター一本で全国280本のライブを敢行してました。
2014年にふたたびメジャーに復帰して今に至ってるわけですが、最初にインタビューしたのは野狐禅の時。デビューアルバムは「便器に頭を突っ込んで」。デビューシングルの「自殺志願者が線路に飛び込むスピード」が強烈な印象がありました。
生き急ぐような性急さと言葉のスピード感。素手で世界に立ち向かってゆくような気合。大学のボクシング部の主将をしていたという背景を裏付けるようなファイテイングスピリット。出口のない状況を突破しようとする歌と言葉は生々しかったです。
それから25年。すでに武道館公演もやりましたし紅白にも出ました。無骨でシャイな優しさは歌だけでなく俳優としても評価が高い。メジャー復帰した頃の「狼煙」に会った”アンダーグランドからのし上がってやる”という感じでは薄くなってます。
彼は、「言わなくてもいいこと」が増えてきた。「敢えて言葉にしなくなってきた」という言い方をしてましたけど、もっと歌や音楽の幅も広くなって懐も深くなった。新作「First Cry」はそんなアルバムでした。
第一印象、「ノーガードアルバム」。ファイテイングポーズをとってない。日常的で自然体。色んな表情がある。らしい曲も今までのイメージではらしくない曲もある。今ままで書いてこなかったと思われるかわいらしく微笑ましい曲もある。
その中にある「オオセンチコガネ」「ありがとう」「失礼だ」と並全部違う3曲が象徴的でした。「オオセンチコガネ」は動物の糞を食べてる虫、「ありがとう」は我が家の灯りを歌ってます。「失礼だ」は、昔の自分のこと。あの頃の自分は何て失礼な奴だったんだ。
そういう曲を受けてどんな歌をうたっても「全部俺だ」という曲も入ってる。フォークロックから言葉遊びのようなラップやモノローグもある。ジョージ秋山の「浮浪雲」のような「野良犬」的センチメンタリズムやロマンティシズムもある。
前作からわずか一年三か月。「曲を書くのが楽しくてしょうがない」という49才。12月に50歳。「文人」と「武人」と「歌人」と「浪人」が一緒になってる。良い感じで年を取ってるなあと思える一枚でした。
でも、ライブでは「薬づけでも生きろ!」と激を飛ばす「Live in 和歌山」のような曲もやってます。今、貴重な男性シンガーソングライターです。というわけで、アルバムから「黙る海、丸い月」を。じゃ、お休みなさい。