明日、5月23日。氷室さんの「LAST GIGS」、最後の会場、東京ドーム三日間の最終日。ちょうど10年です。もう10年かという感じですね。でも、普通の「10周年」という感覚でもない。そういう時間の彼方にあると言えばいいかもしれません。
普通は「10年」と言ってもその間の時の流れというのがありますよね。その後、その人はどうしたのかとか、あそこで何が変わったとか「時間の連続性」があってこそ実感されるのでしょうけど、氷室さんはそうじゃないですからね。
あそこで途切れてしまった。その後の活動がない。ストップモーションのように切り取られている。時間の感覚というのは受け取る人に委ねられている。昨日のようだと思う人もいるでしょうし、どんどん遠ざかってゆくという人もいる。
あの時点ではその後の活動も期待されてましたし、どこからともかくそういう噂も入ってきてました。でもコロナがありましたからね。この間、大阪と名古屋でライブをやった拓郎さんもやろうとしていた全国ツアーが出来なくなってしまった。
もうそういう規模のライブ活動は出来ないということであの二日間になったわけですが、拓郎さんは2019年以来。「LAST GIGS」は2016年。ブランクという意味ではもっと長い。あれが文字通りの「LAST」になるのかなあという気もしてます。
本人の動きがない分、その10年は受けて次第。僕はあの時、60代最後でしたからね。全公演をリハーサルから見ることが出来た。もう無理です。10年前の自分が何と元気だったかと思わざるをえません。「10年かあ」というのは重い実感です。
明日、Zepp羽田で東京ドーム最終日のノーカット上映があるんですね。今週は、大阪、名古屋、福岡とそれぞれの会場のライブ映像を上映してきて明日が最終日。それぞれの街でしか見ることが出来なかった人にとっては貴重な時間になったでしょう。
東京ドームを舞台にした色んな劇的なコンサートがありましたけど、氷室さん個人というだけでなく歴史上最も劇的だったのがあのライブだったと思ってます。個人の能力の限界を超えた、二度とありえないパフォーマンス。
記憶は語られることで受け継がれていきますが、氷室さんはそういう語られ方を良しとしてないようにも見えます。一人の人間の生き方の美学という意味でも他と比べようのない完成度の高い幕切れを追体験しにいこうと思います。
もう叶わないからこそ純化された記憶。というわけで10年が経ちました。曲ですね。何でしょうね。やっぱり「B・BLUE」かな。いや、「The Sun Also Rises」を。「愛と冒険」にまだ先があることを、じゃ、お休みなさい。