森山直太朗さんが10月17日に同時発売するのが「弓弦葉」と「Yeeehaaaaw!」と題された二枚のアルバム。それぞれ音楽性の違うコンセプトアルバムです。素晴らしいアルバムでした。先週、NACK5「J-POP TALKIN’」のインタビューがあって、今日、完パケました。
少なくても今年聴いたアルバムの中で一番印象深かった、引き込まれて聴き入ってしまいました。「弓弦葉」は、ピアノとギターと弦楽器だけ。透明で静かで儚くて美しい。「Yeeeehaaaaw!」はカントリーミュージックになくてはならない楽器、フィドルやバンジョーを使った陽気なアルバムです。
でも、それぞれのアルバムに同じメロデイーで同じ歌詞の曲「あの世でね」が入ってる。曲は同じなのにこんなに世界が違うんだと思わせてくれる。曲調だけじゃないんです。歌っていることが全く違う。静と動、表と裏、もっと言ってしまえば生と死。相反する二つの世界が歌われてます。
インタビューの前に色々資料や最近のインタビューを見ていて、直太朗さんがコロナで10日間高熱に襲われて生死の境をさ迷ったとか、父親がなくなったということを知りました。そういう中で自分が生きてること、生まれて来たことがどういうことだったのかを問い直したことで生まれたアルバムなんだと思いました。
生と死の境目が曖昧になった。そういう経験もしたんでしょう。意識がもうろうとする中でここはどこだろうと思ったり、錯覚や混濁みたいなものもあったのかもしれません。なくなった人がじつはすぐそばいるように思えたり、何かを語り掛けられていると思えたり。彼は「無意識の残像」という言い方をしてました。
自分じゃ意識してないんだけど、記憶の底にあるものを音楽にしようとしている。なくなった人と対話しながらそれを探している。配信とCDと表示されてる曲数が違う、CDには曲の合間に「回想」とか「PreーRoll」と題された短い曲が入ってる。それが曲の背景を暗示していたりする。
発売前なので曲名は書きませんが、その音の話を聞いて思わず絶句するというやりとりもありました。NACK5「J-POP TALKIN’」のインタビューではそういう話もしてくれてます。曲が7分、8分、11分と長い曲が多いので、ちゃんとはお聞きいただけませんが、話の内容は貴重だと思います。
こういラジオ番組があっていい。こういう番組だから聞ける。アルバムを理解していただく上で大きな参考になると思います。オンエアは22日と29日です。というわけで曲です。「あの世でね」。ぜひ、両方のバージョンで。「あの世」と「この世」をつなぐ歌に思えました。じゃ、お休みなさい。