28,29日の両日、東京ドームで行われたサザンオールスターズのツアー「THANK YOU SO MUCH」。圧巻でした。質も量も自分たちの過去を乗り越えて前人未到の道をゆく。浮かんだのが「金字塔」という言葉でした。
自分のボキャブラリーのなさを嘆きたくなるコンサート。過去を振り返ることもなく今であろうとする。と言ってストイックにもヒロイックにもならない。彼らにしか出来ないエンターテインメントに徹している。
6月でデビュー47周年。でも、ツアーは新作アルバムのツアーですよ。そういうキャリアの人達が新作の比重が下がっていくという例には当てはまらない。アルバム前14曲中12曲を演奏してましたからね。最新曲を通した最新のサザンなんです。
もちろんこれまでの曲もやりわけですが、なぜこの曲をという思いが伝わってくる。聴き手の盛り上がりと自分たちの愉しみ。どんなにシリアスなことを歌っても聴き手の気持ちを損ねない気遣いと親近感に溢れている。
こういうのを大衆性と呼ぶんだろうなと再認識させられました。ロックバンドというような括りは必要がない。かと言ってロックじゃないのかというと紛れもないロック。エンターテインメントという言葉を日本語にすると大衆性なんだと思いました。
前々作の「葡萄」あたりから「大衆音楽」という言葉が使われるようにも見えます。ロックでも歌謡曲もジャズも演歌もテクノも飲み込んでる。人を喜ばせる、楽しませる、しじみじさせる。誰もが持っている喜怒哀楽を掬い上げる人間的な音楽。
でも、古い音楽じゃないし泥臭くもない今の音楽。バンドの力量と音の作り方。音量も大音量でありながらクリーン。刺激的な快感と濃密さを備えている。産業ロックの頂点にいるようで絶対に上から目線にならない。
桑田さんの声もドームを圧してました。MCでツアー中にコロナになったり眩暈に悩まされたりしたと話してましたけど、そういう疲れは全く感じさせない堂々たる歌声。怪物感ありました。50周年という言葉も出てましたけど行けるでしょう。
というわけで、書かないとこのまま忘れてしまいますからね。曲です。「マンピーのG★スポット」で盛り上がるだけ盛り上がった後にこういう曲を歌えるバンドがいたでしょうか。「Relay~杜の詩」を。じゃ、お休みなさい。