行われたのは昨日、3月12日に出るTHE COYOTE BANDとの新作アルバム「HAYABUSA JET 1」についての全曲インタビュー。FM NACK5「J-POP TALKIN’」の3月12日と19日分。アルバムの発売日と翌週の放送です。
中身、濃かったです。「HAYABUSA JET」は、彼のクラシックス、つまりこれまでの代表曲を新たにレコーデイングし直したもの。彼は「再定義」したと呼んでますね。自分の曲を歌い直しているわけだからセルフカバーじゃないです。
最近、この辺が曖昧になってますね。きちんと言うと他の人に提供した曲を自分で歌い直すのがセルフカバー。自分の曲はリメイク、あるいは新録音ということになるわけです。単に歌い直した、というだけじゃない。そこには新しい意味がある。
そういう意味では「再定義」という言葉も佐野さんらしい、と言っていいでしょう。全10曲。中にはその後のホーボーキングバンドでレコーデイングしたものもありますけど、大半がザ・ハードランド時代に知られていたものです。
同じ曲なのに違う曲。メロデイーも同じなのに違う曲に聞こえる。THE COYOTE BANDの音になってる。佐野さんは今年がデビュー45周年。THE COYOTE BANDは結成20周年。年輪がオーラになって違うメッセージを発している。
すでに80年の「ガラスのジェネレーション」が「つまらない大人にはなりたくない」というタイトルで発売されてますけど、同じ曲なのにやっぱり違う。もとから「ガラスの世代」がテーマだったわけじゃなくて、これが言いたかったんだよという曲になってる。
「YOUNG BLOODS」もそうなんです。「つまらない大人にはなりたくない」もそうですけど、イントロから違う。性急な若さのヒロイズムみたいな音じゃない。音像が違う。人生はもっと複雑なんですよというような奥行きがある。
一曲目が「YOUNG BLOODS」ですからね。何気なく聞いていて、あれ、と思う。「冬」が「街」になったりするだけで見えて来る景色が違う。「冬」だと季節の歌になるでしょうけど、「街」ですからそういう限定がなくなる。
その後にも「街」は出て来るんです。「この街のニューイヤーズデイ」という元からの歌詞で「ニューイヤーズデイ」がない。つまり「新年」の歌じゃない。「信念」の歌になる。英語の一行がなくなるだけでこんなに印象が変わるのかと思える。
音楽って面白いなあと思わせてくれる。同じようなスカやシャッフルでも80年代の持っていた根拠のない明るさや子供っぽさみたいな浮ついた気分が一掃されてるんです。曲や言葉が地に足がついている。でも、身体は揺れるし心は晴れてゆく。
全曲がそういう感じですからね。酸いも甘いも知った。挫折も諦めも経験した。でも、辿り着こうとしているところは変わらない、むしろはっきりと見えている。足取りは力強い。後半に行くほど、そういう蓄積感が強くなる。
と言って安易な「大人のロック」も拒否している。それじゃ「つまらない大人」と一緒じゃないか、という腰の据わったおだやかな反骨心に満ちている。発売日の翌日が誕生日、彼は69才ですからね。ロックです、は陳腐か(笑)。
最後の曲が「約束の橋」。スタジオライブを見ているような爽快な終わり方でした。「HAYABUSA JET」というのはオリジナルではない再定義ものをやる時の「アバター」みたいな名前なんだそうです。「アンジェリーナ」のジェットマシーンを思い出しました。[1」があるんだから「2」もありそうです。というような全曲インタビュー、面白かったです。
スタバで書いてます(笑)。明日収録のFM COCOLO「J-POP LEGEND CAFE」の瀬尾一三さんゲストの台本を書いて、少し時間が余ったので滑り込みセーフ。みゆきさんの「歌会・VOL1」を中心にしたみゆきさん特集です。曲ですね。佐野さんの「欲望」。感動的なくらいに世界が変わりました。じゃ、また。