遅くなりましたけど、あの日に無事終わりました。僕らの生活時間としては「早朝」に近い、朝10時からでした(笑)。でも、こちらの都合でキャンセルしてしまったわけですからそんなこと言える立場ではありません。
今日、12月13日発売の10枚目のアルバム「〇」について。水野良樹さんと吉岡聖恵さん。水野さんはまだ三人体制だった2021年にインタビューしてますけど、吉岡さんは、前々作の2019年のアルバム「WE DO」以来、かなり久々でした。
彼らを初めてインタビューしたのが2007年のメジャーデビューアルバム「桜咲く街物語」の時だったと思います。デビューシングル「SAKURA」を出た時に「誰、これ!」と思ったのが最初の出会いですね。その後は全部のアルバムで取材してます。
2009年の4枚目のアルバム「ハジマリノウタ」の時の全都道府県ツアーはかなりの数のライブを見てますね。ソニーマガジンズから出たツアーブックの取材。どこへ行っても三世代に渡る幅広い年齢層が集まっているのに驚かされた記憶があります。
その後に出たアルバムが「NEWTRAL」。「中庸」「中立」。突出した方がセールスに結びつきやすいというロック・ポップスの中では割と難しい立ち位置なんですね。、この10年でそれをやりきって一番成功した若いグループが彼らでしょう。
大御所では小田さんとか達郎さんとかはいますけどね。いきものがかりの水野さんは、小田さんの「クリスマスの約束」の「委員会バンド」のメンバー。10年以上は経ってますね。今回の「〇」は、その背中を追うようなアルバムに思えました。
インタビューの中でもそういう話をしてました。どこまで曲をシンプルにできるか。一番言いたいことをどこまで分かりやすく伝えるか。メロデイーも言葉も装飾的な形容や曖昧な修飾を使っていない。
これまでは男性二人のソングライターが書いた曲を女性のシンガーが歌うことで生まれるバランスが彼らの魅力でしたけど、そこは変わりましたね。水野さんと吉岡さんが「作り手」と「歌い手」として一体化している。
水野さんの「僕」の言葉が吉岡さんの「私」と重なりあう。水野さんが個人的な気持ちを書いても吉岡さんの歌になる。その中和作用みたいなものが「歌」を浮き立たせてくれる。二人になったからこそ作れる世界がありました。
来週の火曜日の「毎日新聞」の「今月の特撰盤」に入れたので、そこでの原稿にも書きましたけど、「〇」というタイトルに込めたものという話が面白かったですね。ジャケットがじゃがいもみたいに少しひしゃげた「〇」の絵が描かれている。
決してマンマルじゃないけど、でも「〇」。つまり、「それでいいんだよ」というメッセージが込められている。アルバム全体に流れているのが「肯定」なんですね。今の世界が「×」で覆われている中で若い人たちに伝えたいこと。
水野さんも吉岡さんも一児の親になりましたからね。10代の若い人たちに対しての見方も変わってきたんでしょう。高校生と話して生まれたという歌もありました。今までに歌ったことのないようなストレートなメッセージも歌もあります。
「〇」というタイトルで思い出したことがあるんです。ジョンレオンがオノヨーコさんに惹かれるきっかけになった「天井の絵」という彼女の作品があるんですね。天井から虫メガネが下がっていて、それで天井を見ると「YES」と書いてあった。
60年代は「NO」の時代でしたからね。反抗の時代。その申し子だったジョンが「YES」という「肯定」のユーモアに惹かれた、という有名なエピソードですね。国も音楽も違いますけど、無茶苦茶な「×」の時代という点では共通するかもしれません。
笑って「〇」と言えることの意味、みたいなもの。第二のデビューアルバムということになりそうです。FM NACK5「J-POP TALKIN’」。1月の4日と11日のオンエアです。というわけで、アルバムタイトル曲「〇」を。
体調、だましだましですね。めまい、ふらつき、気温差とどう付き合うか。そして、引っ越し。低下するばかりの処理能力でどこまでやりきれるか。人生最後の綱渡りという感じの年末になってます。じゃ、お休みなさい。