というタイトルだけ書いてしまってから、早まったかなと思ったりしてます、っていきなりの腰砕け(笑)。そんなに大上段なことを書こうとしてるわけじゃないですけど、映画を見ながら、ふっとそんなことを考えました。
「君たちはどう生きるか」。何の宣伝もせずに公開を迎えたことで反響を呼んだ宮崎駿監督の最新作。遅ればせながら見てきました。吉祥寺の映画館で平日の昼間だったにも関わらず7割の席は埋まってました。ヒットしてるんだなあと思いました。
戦前に発売になって数年前に漫画版がベストセラーになった吉野源三郎さんの小説と同じタイトル。でも、モチーフは共通していると思いましたけど、あの小説の映画化ということではないですね。原作と脚本は宮崎監督。オリジナルストーリーです。
小説と同じ戦前を思わせたのは導入部くらいであとはいつの話かは特定していないように思えました。「第二次世界大戦」というような具体的な背景じゃなくて、もっと時代を俯瞰して普遍化、抽象化、ファンタジー化している。
面白かったです。人物の描写やそれぞれのキャラクター。この動物は何を意味してるんだろう、どんな設定なんだろうとか、今も理解できてないですけど絵柄が詩情豊かで幻想的。難解さを感じなかったのはジブリアニメならではでしょう。
というほどジブリの作品を見ているわけじゃなくて代表作しか知りませんけど、テーマ的にはそんなに難解とは感じなかったです。乱暴に言ってしまうと「二元論の終焉」「二元論の超克」というんでしょうか。
例えば「善と悪」とか「戦争と平和」とか「白か黒」か「好きと嫌い」とか。世界の動きや人間の心理、社会の規範。そんな簡単に二つの価値には分けられない。その両方を引き受けることでたどり着ける境地がある。
主人公の少年とアオサギがその象徴のように思えました。善人か悪人かが場面によって変わったりする。敵か味方か分からない。一見矛盾するような面が露呈されたりする。でも、それが人間であり世界なんだということでしょう。
小説は第二次世界大戦という具体的な戦争でしたけど、映画の中ではもっと混沌とした複雑な異変を想像させました。そういう中で未来を生きる人たちに「君たちはどう生きるか」と問いかけている。
もしこれが宮崎監督の最後の作品になるのだとしたら遺言、みたいなものかもしれないな、最後に出てくる大王は監督自身なのかなとか。で、ふっと「夜会」を思ったのは「もう一つの世界」ということですね。
この世界の裏側にもう一つの「異世界」がある。そこの入り口がどこかにある。「神隠し」というのはそこを超えてしまうことでしょうし。「夜会」も望んだわけじゃないのにそこに閉じ込められている人がいる。
そこからの救済が「夜会」の一貫してるテーマでもあると思ってるんです。途中からそんなようなことを考えながら見てました。何だ、そんなことかと思われたでしょうが。一回見ただけですからね、もう一回見てみます。
宮崎駿と中島みゆき、テーマとしては興味深そうですが、手に負えそうにありません(笑)。曲ですね。主題歌、米津玄師さん「地球儀」を。じゃ、お休みなさい。