久々のダブルインタビュー。FM COCOLO「J-POP LEGEND CAFE」の最新音楽本特集の4週目の収録とFM NACK5「J-POP TALKIN」の9月前半二週のゲストインタビュー収録、沖縄のバンド、紫の新作アルバムインタビューでした。
この暑さ、二本きついなあと思ったのですが、何とか乗り切れました。紫の話は次の機会にして、何と言っても「ジュリーがいた・沢田研二、56年の光芒」。「週刊文春」連載は知ってたんですが、何だか勿体なくて書籍まで待とうと思ってました。
予想を遥に凌いでました。こんな本、読んだことない、というくらいにすごかった。著者の島崎さんは、雑誌「AERA」でお名前を知ったんですね。10年くらい前かな「安井かずみがいた時代」も面白かった。でも、それを超えてましたね。
何がすごいってその取材の量。こんな人にまで取材してるんだ、という驚き。一つの出来事や曲、シングルやアルバム、映画や舞台、テレビ番組や雑誌のグラビア。その時代を物語る一つ一つの関係者に話を聞いている。
一つの角度じゃないんですね。マネージャーからプロデユサー、アレンジャーやミュージシャン。ジャケットを手掛けたスタイリストやカメラマン、デザイナー、演出家、その家族、どんな細かいことでも証言の裏付けがある。
関係者だけじゃない。連載中の反響がすごかったんでしょうね。ファンが提供した雑誌の記事や資料、果てはそのファンの人たちにも話を聞いている。それぞれの立場、それぞれの役割で見たジュリーへの思い入れが語られている。
何でこの人が出てくるんだろうという思いがけない人も実は彼のファンだったということが明かされる。56年の時代を「この時、何があったのか」「なぜそうだったのか」という質問の連射が希代のスターを浮き彫りにしていきます。
あまり語られてないどころか、今まで誰も書いたことのない視点で綴っている。それも単純な好奇心じゃない。どんなエピソードにも愛情が感じられる。ジュリーとショーケンの二人をこんな風に書いた人はいないでしょう。
番組のゲストに予定していた島崎さんは体調不良で来られずに代わりに文春の担当編集者、内藤淳さんが来て下さったのですが、島崎さんより41歳若い。タイガースはもちろん「TOKIO」の時も生まれてなかったという人の解説も見事でした。
つまり、それだけ年が違う、体験も違う編集者が、取材する過程でどんなことを思ったのか。それが本の説得力にもつながるという濃密な話を聞けました。担当編集者が原稿を読んで泣くという例はそんなにあるものじゃないです。
話していてかなり興奮するという時間でしたが、書いていてもそうなります。頭に血が上りそうなんでこの辺でやめますが(笑)。沢田研二さんは、いつか番組で特集したいと思ったりしてたのですがもう僕に出来ることはないでしょう。
ノンフィクションの最大の説得力は本人の話ではなく、取材の量と質だという典型のような本でした。この本を紹介したいがための一か月だったと言って過言ではないかもしれません。時事通信が配信している書評も書かせて頂きました。
この本を読まずに「ジュリー」を語るな、という決定版です。というわけで、曲です。最後の第八章で出てきた曲を。還暦の時のアルバム「ロックンロールマーチ」から「我が窮状」を。まだ話したりませんが(笑)。じゃ、お休みなさい・