出たばかりですね。7月31日発売。2006年になくなった音楽ライター・下村誠さんの遺構集。色んな雑誌に彼が書いていた記事を抜粋して再編集した本。彼とかかわりの深かったミュージシャンやイラストレーターや僕ら同業の新たな追悼文もあります。
編集したのはフリーのエデイター&ライター、大泉洋子さん。下北沢のタウン誌の編集をしていたこともあるという女性。1954年生れの下村さんより10年近く若い。全部の原稿を集めた中から選んだり、掲載記事の許可をもらったり。
彼の活動の足跡を追った原稿とか、一番関りの深かったミュージシャン、キーボードの西本明さんを訪ねたかなり長いインタビュー記事もあります。本も自費出版ですからね。出版社もそういう本を出してくれる会社。その熱心さには頭が下がります。
FM COCOLO「J-POP LEGEND CAFE」の8月特集「2023・最新音楽本特集」の三週目がこの本ですね。ゲストは編著者の大泉さん。彼が書いた記事の中に出てくるアーテイストの曲と彼自身の曲で構成します。どんな記事が載ってるか。
アルフィー、伊藤銀次、エコーズ、大塚まさじ、吉川晃司、佐藤奈々子、ストリートスライダーズ、ストリートビーツ、ブルーハーツ、篠原太郎、シバ、白鳥英美子、ジュンスカ、高田渡、豊田勇造、友部正人、西岡恭蔵、中川イサト、浜田省吾、ふきのとう、真島昌利という具合。
許諾がもらえなかったアーテイストもかなりいたようで、それは残念ですけど、色んな事情があるんでしょう。全仕事の一覧というのもあります。僕との対談が二本採録されてました。86年と94年かな。かなり恥ずかしいですけどね。
下村誠さんは僕らと違って自分でもバンドを持ってたりインデイーズのレーベルを主宰していたり「やる側」としても活発な活動をしてました。アルバムもオリジナルが4,5枚はあったと思います。抜粋の歌詞も載ってます。
ボブ・マーレイやジョン・レノン、ニール・ヤング。地に足のついたメッセージをずっと歌ってきた人。僕は90年代の半ばまでしか知りませんでしたけど、40代後半は長野に拠点を移して自然農業とか環境問題に取り組んだりしてたようです。
「聞くこと」「書くこと」「歌うこと」「行動すること」が全部一体になっていた風のような自由人。最後は仕事場にしていた農家が火事になって、忘れ物があると火の中に戻っていったきりになったようです。
取りに帰ったのが大事にしていた掛け軸だったという説とギターという説とあるようですが。その辺も確かめてみようと思います。でも、なくなって15年も立つライターの原稿を自費出版で出すというのはかなり稀有な例じゃないでしょうか。
そういう本ですからね。宣伝とは全く期待できないでしょうし、少しでもお役に立てればという特集。最終週、4週目は文芸春秋から出ている「ジュリーがいた・沢田研二、56年の光芒」ですからね。メジャーもインデイーズもありません。
徹貫がなくなったばかり。一昨年は佐伯明でしたし。自分の書いたものがどう読まれいくのか考えたりしてしまいます。最終章ですし(笑)。というわけで、下村誠さんの曲、インデイーズでもYou Tubeにはあるようです。「海への風」という曲を。じゃ、お休みなさい。