ライブが行われたのは水曜日と木曜日。暑い日でした。二日とも30度超え。特に水曜日は33度かな。昼間原宿を20分くらい歩いただけでぐったり。喫茶店とか会場は対照的にエアコンがきつかったんで温度差にやられました。
と、お天気は大変でしたけど、ライブは素晴らしかったですね。5月からスタートしたツアー「こんどこそ、君と」の東京公演。すでに6月に有明スタジアムでも行ってますが、代々木は去年、小田さんがコロナになったことによる振り替え公演。
ある意味でこの3年間を象徴しているライブになる。有明は新しい会場ですからやっぱり代々木でと思って見せて頂きました。代々木も改装されていて以前とは雰囲気もかなり違いました。そして、ライブの内容もです。
まだ岩手・札幌・横浜と残ってますから詳しいことは触れませんけど、小田さんの声が前回や前々回とは違ってました。乱暴な言い方をすれば「年齢」を感じさせなかった。特に前回はそういう変化を生かした作りに見えました。
何と言っても「声」ですね。艶やかさや伸びやかさ、様々な感情を浄化したような凛とした真っすぐな淀みのなさ。これぞ小田和正という歌が聞けました。もちろん若い時とは違うわけで、若さの「余力」みたいなものはありません。
スクリーンでアップになった表情も自分の歌と声に全神経を集中しているのが伝わってくる。自分の限界と向き合いながら歌っているというストイックな空気に包まれている。ある種の崇高さすら感じさせました。
そしてバンドですね。ストリングスのメンバーが演奏の合間にハンドマイクでコーラスしているという一体感。そういうアットホームな雰囲気が歌を押し上げてゆくのも伝わってくる。温かくていいコンサートだなあと思わせてくれました。
実は代々木もこれが見納めになるのかなあ、という気分もあったんです。そういう感じじゃなかったです。そういう悲壮感というのかな、ピリオド感めいたものが全くなかったのが良い意味での驚きでもありました。
これは推測ですけど、本人の手ごたえもあったんじゃないでしょうか。あれだけの時間と曲数を一人で歌うわけですから、一本一本、その日その日がどこまでやれるかという試練の連続ということは容易に想像できます。
そういう意味では違う意味での見納めにはなるのかもしれませんね。この完成度は若い頃にはなかったでしょうし、この先同じものが出来るとも思えない。いましかない、今しか見ることが出来ないという、生涯を通じての一期一会ですね。
残り少ない本数ですが、雑誌「ALL AREA」でレポート出来ると思います。75歳の史上最年長アリーナコンサートを76歳がどう書くか(笑)。書き納めになりそうだな、という心境は変わりません。
というわけで、ツアーのタイトルにもなっている曲「こんど、君と」を。じゃ、お休みなさい。