昨日と今日ですね。僕は昨日行きました。一昨日が台風だったんでやれるんだろうか、と思ってました。ライブ当日、昨日の夕方には雨が上がるという予報にはなってましたけど、夜がものすごい雨でしたからね。仕込みが出来るのかと。
大丈夫だったんですね。スタッフ、命がけだったんじゃないでしょうか。ヴォーカルの井口さんが、夜中は雨がすごくて朝6時からの仕込みだったんでゲネプロも出来なかったと言ってましたね。お客さんもそうでしょう。
地方から来られた方には交通機関がストップしてしまって来ようにも来れなかった人もいたでしょう。得てしてそういう時のコンサートは得体のしれないエネルギーを持ったコンサートになることがありますが、昨日がまさにそれでした。
初めてホーンセクションにストリングスが加わった。それも二編成。ゲネプロもないままのほぼぶっつけ本番。全員のプロ意識が一丸となって燃え上がっている。すさまじい熱量のコンサートになってました。
そう、すさまじかった。何が良かったとか、曲とか詞とか歌がとかちいう個別要素では語れない。歪んだ音も軋んだ音も悲鳴を上げるような音も、全部が曲の世界を表現するバンドの音になっている。
「適度な予定調和」という曖昧さがない。「ポップミュージック」とか「エンターテインメント」というバランス感覚に終始しない。一般的な「美醜感覚」の「上っ面」をはぎ取ろうとしている。
どこかに「狂気」を孕んでいる。「正義と悪」という二元論の奥に渦巻いてるドロドロした感覚を掬い取ろうとしている。バンドの演奏もそう。メンバー4人が本気でどこまで未知の領域に行けるかを楽しんでいる。
あんなにガチンコのバンドが今、あるだろうか、と思いました。印象に過ぎませんけどロックとかジャズ、ヒュージョン、ファンク、パンクにクラシック、教会音楽やオペラ、そして歌謡曲がカオスの中で火花を散らしている。
常田さんの厭世観というのかな。太宰治や坂口安吾みたいな文学青年的な言葉と井口さんの声やキャラクターのマッチングの妙。危うくて儚くてはみ出していて壊れそうで過激で優しい。息詰まるようにドラマテイックなコンサートでした。
今まで色んな人の日産スタジアムを見ましたけど、見ているところや求めているものが違う。「土俵」が違うような感じがしたんですね。あんなに危機感を孕んでいててそれが美意識になってカタルシスを感じさせる。
あらゆる何かが崩壊しようとしている。まさに今の時代なんじゃないでしょうか。「成功」とか「頂点」という言葉もふさわしくない。そういうカオスの時代の「KING」の雄たけびのような生命力にあふれたコンサートに思えました。
うーん、うまく言えない。次はどんなコンサートをやるのか。海外に行くんでしょうね。またの機会を楽しみにします。曲ですね。もう終わったからいいか。映像を見たいと思った曲「Stardom」を。じゃ、お休みなさい。