唐突な組み合わせという感じかもしれません。二人の共通点は「音楽について書くこと」ですね。肩書が「音楽ライター」だった。そして、二人とも故人。これが一番大きいかな。徹貫は先週でした、下村誠は2006年。かなり時間が経ってます。
年齢は下村誠の方が上です。1954年生れ。徹貫より5歳上。雑誌「新譜ジャーナル」にいて79年にフリーのライターになりました。同じころに活動していながら書いているアーテイストのカラーは少し違いました。
徹貫がポップス系が多かったのに対して下村誠はロック系。佐野元春やブルーハーツ、友部正人ら、ストリートやオルタナ系が多かった。元URC系というんでしょうか。最大の違いは「物書き志向」でしょうね。
徹貫は僕と同じで、いいものを書きたいと思うタイプだった。下村誠は自分で「やる側」の意識が強かった。シンガーソングライターとしてアルバムも出してましたし、自分でインデイーズのレーベルも持ってました。
何でそんなことを考えていたかというとやっぱり、徹貫のことがあったからですね。昨日はFM COCOLO「J-POP LEGEND CAFE」の収録があったんですが、どっか「喪」に付してる感じで気分でした。
みんな死んじゃうなあ、みたいに思ってぼんやり考えていて、下村誠のアルバムを聞き直したんです。僕は彼とは「ライター」としてしか付き合ってこなかったんで、ちゃんと聞いたのは初めてですね。
実は、去年、下村誠の「追悼アンソロジー本」を出したいという話があったんです。彼の色んなアーテイストに書いた文章やインタビュー、アルバムに関わった人たち、アルバムの紹介などを一冊にまとめたい、ということでした。
しかも企画したのが1963年生れのフリーの女性の編集者だった。僕も彼のことを思い出すことはなくなってましたから、かなり思いがけなかったんです。で、原稿をということで資料一式を預かったまま時間が経ってました。
アルバムを聞き直す時間はないかもしれない、とはお伝えしてたんですが、やっぱりそれじゃあんまりだなあと思って聞いてました。彼のことを覚えている方がいらっしゃたら、そんな本の制作が進んでます。何を書こうか、これから考えますけど。
でも、なくなってこれだけ時間が経ってるのにそういう本を作りたい、と言ってくれるのは幸せなことでしょう。徹貫も沢山残ってるでしょうね。私事ですが、僕はそういう企画が通ったことがないです。ま、不徳の致すところでしょうが(笑)。
というわけで、曲ですね。下村誠のアルバムはインデイーズだったんでサブスクでも聞けません。彼が一番多く書いていたアーテイスト、は佐野元春さんのアルバム「HERAT BEAT」から「ロックンロールナイト」を。明日はKing Gnuの日産スタジアム、やれるんでしょうか。じゃ、お休みなさい。