”衝撃”という言葉でいいかなあと思いつつですが。5月17日発売の17枚目のアルバム「ひみつスタジオ」。某機内放送で特集します。ちょっと早いですけど「ロッキング・オン」とか特集もすでに出てるんで内容は「ひみつ」じゃないですね。
”衝撃”がいいのかな。”驚き”の方がいいかもしれません。それも「痛快な驚き」「やっったね!」みたいな感じでしょうか。今までやろうとして出来なかったのか、ここまで来たからやろうと思ったのか。多分、そんなこんながあってでしょうけど。
何よりも力強い。いいロックバンドだなあという、聞いているこちらの表情が崩れてしまう感じ。バンドの確かさ、音の太さや揺れ、メンバーの一体感、どれをとってもこれまでと格段に違う。信頼という自信。メンバー全員で歌う曲もありました。
デビュー32年。今まで「変わらない」ことが特徴と言われてましたけど、そういうイメージじゃない。デビュー当時「ヘタウマ」という言葉もありました。一般的な「上手い下手」という概念に当てはまらないバンドでした。
僕も「隙間の詩人」という言い方をしたことがありましたからね。そういう「風通しいい音」が正統派ロックバンドの音になった。「正統派」というのは変かな。でも、彼らの中の「異端」を語る人も少なくなかったです。
草野さんがインタビューでレッドツエッペリンの一枚目のアルバムを話題にしてました。そういうロックバンドの音。前々作の「醒めない」の時に言っていた冗句「オヤジロックバンドをなめるな宣言」を身を持って証明したアルバムでしょう。
もちろん”らしさ”もありました。「本音」をそのまま歌うのではなくチラッと見せる。「生まれ変わる」みたいな言葉が出てきたり、同じテーマや言葉でもこれまでと違う使われ方をしている。「跳べ」という曲もありました。
「空も飛べるはず」と歌っていたバンドが「跳べ」をくり返す。今まで歌ったことないことも随所に歌われてます。「反骨」や「異端」の「かわいらしさ」を引き受けつつ揺るぎない。妙な言い方ですけど見違えるほど、前作で「見っけ」た結果がこのアルバムだと思いました。
以前「さわって変わって」という曲や「メモリーズ」という曲もありましたから、ファンの人たちには快哉を浴びるでしょうけど、ヒット曲しか馴染がないという人には驚きじゃないでしょうか。50代半ばですからね。バンド人生の仕上げはここからでしょう。
というわけで、曲はまだお聞きできないでしょうが、アルバムの中で一番感動した曲「讃歌」を。発売の折に是非。じゃ、お休みなさい。