FM NACK5「J-POP TALKIN’」のインタビュー。11月後半二週のゲストが熊木杏里さん。今年はデビュー20周年の節目の年で、11月23日に13枚目のアルバム「風のしおり」が発売になります。
20周年というキャリアがあるにも関わらず僕は初対面。コンサート会場ではアーテイストが初めて会場に来たお客さんに向けて使う「今まで何してたんですか」という冗句の対象になりそうなくらいの「初めまして」。お会いする前は多少緊張してました。
内省的な曲の多い人ですからね。今回のアルバムにも「生きること」や「いのち」についての正面から向き合った曲が並んでます。そういうナーバスな感性の持ち主だったら相当神経を使わないといけないな、と思ってたんですが、杞憂でした。
さっぱりしているというんでしょうか。言いたいことや思ったことに対しての言葉が明快。歌もそうなんですね。シリアスなテーマにも切り込んでゆく。答えを出そうとしているように思える。そうありたいという強い気持ちの表れのようでした。
現実の人間関係はそうじゃないことの方が多い。だから歌と向き合っている時はそうなるんでしょう、と言ってました。歌とのギャップという意味では事務所の大先輩、みゆきさんを思い浮かべたりもしました。あんなに極端ではありませんけど。
新作アルバムは去年の3月から12か月連続配信しているシングルと新曲の10曲。連続配信はまだ続いてますからね。現在進行形のアルバムでもあるんでしょう。重いテーマも柔らかく透明な曲にする。そのトーンが新鮮でした。
でも、初対面ですからね。今までどういう曲を歌ってきたかをおさらいしないといけない。その中で衝撃を受けたのが2017年のアルバム「群青の日々」に入ってました。タイトルが「国」ですからね、どんな曲なんだろうと思ったわけです。
え、と思ったのは「その国」の表現の仕方。「ユートピア」ということなんでしょうけど、実に具体的「その国に戦争はない」「その国に貧困はない」「その国に孤独はない」。「絡み合う宗教はない」「虐めにあう子どもはいない」。
まだあるんです。「その国に滅亡はない」「その国に独裁者はいない」「その国に名前はない」と「ない」ものが続いて行く。そこにあるのが「許しあう愛」と「守るべき心」「自由に見れる夢」で「帰ろう今、その国に」と歌われる。
こんな歌、聞いたことない。という感じでした。ジョンレモンの「イマジン」もそこまで具体的には歌ってない。2005年のアルバム「無から出た錆」には「イマジンが聞こえた」という曲もありました。
2022年の歌だなあと思った。「戦争」と「宗教」「独裁」と「自由」。こんなに見事に世界を歌った曲があったんだ、と。話題にはなってなかったんじゃないでしょうか。こういう曲がニュース番組のテーマになればいいのになと思いました。
残念ながら、今回の放送は新作アルバムの話なので流れませんけど。ぜひ聞いて見てください、ということで。熊木杏里さん「国」を。じゃ、お休みなさい。