FM COCOLO「J-POP LEGEND FORUM」の9月の特集「大江千里」、昨日と今日で4週分の収録を終えました。濃かったですねえ。感動的に濃かった。そうだったんですかの連続。またしても僕は何を見ていたんだろう、になりました。
初のシングルコレクションの4枚のそれぞれのDISCから「語りたい曲」を7曲づつ選んだ頂いたのが良かった。ヒットしたとかしないとかじゃなくて、彼の想いの詰まった曲ばかりですからね。微に入り細に入り覚えてる。言葉を失いました。
そんなことがあったんですか、そこまでしてたんですか、という話ばかり。ほとんどが今まで語られてなかったんじゃないでしょうか。そういう話をするのはイメージ合わないということでもあったんでしょうね。
やっぱり基本は”明るく楽しい千ちゃん”だったんでしょうから。その裏側の涙ぐましい努力の数々。ポップミュージックの光と影。そして謎。いい曲や完成度の高い曲がヒットするとは限らない。それぞれの曲にまつわるエピソードの説得力はすごかった。
そういうキャリアを経てなぜ47歳の時にニューヨークに移住したのか。そこに至るストーリーは劇的でした。今だから語れたということなんでしょうね。14年のニューヨーク生活が自由にしてくれたということなんでしょう。
日本人のミュージシャンがニューヨークでジャズをやることがどのくらいハードルが高いか。でも、そこで子供の頃から押さえていた音楽の夢や欲求が解放されている。新作アルバム「Letter to N.Y.」はその証のようなアルバムでした。
コロナで人に会えない中で楽器もサンプリングも全部自分でやった。彼の中の好きだったジャズがきらめいている。曲も彼ですからね。ポップセンスは折り紙付きなわけです。ピアノのタッチもアメリカ人とは明らかに違う。
繊細で軽やか、知的な優しさもある。タイトルが「Letter to N.Y.」なのは何故だろうと思ったんです。向こうで作ったんですから「from」になることが多い。窓の外のニューヨークに向けて自分の気持ちを表した、ということでした。
ジャズ、と言われると身構えてしまう人も多いでしょうけど。都会的で心地よいピアのアルバムとして聞くと素敵なアルバムです。こんなポップなジャズアルバムは日本人にしか出来ないと思いました。
60代の千里さん、楽しみだなと思いながら話を聞いてました。オンエアは9月5日が一週目。彼の61歳最後の日。曲です。アルバム「Letter to N.Y.」から「The Kindeness of Strangers」を。優しい曲です。じゃ、お休みなさい。