というサイトがあるんですよ。拓郎さんのファンならきっとご存じだと思うのですが、「t’y」というのはtakuro yoshidaの略ですね。つまり隅から隅まで拓郎さんについて書かれているサイトなんです。
このサイトを知ったのは10年近く前でしょうか。かなりのインパクトがありました。色んなアーテイストのファンサイトというのがありますけど、僕の知る限り拓郎さんに関しては一番濃いと言っていいんじゃないでしょうか。
丁寧によくできてるんです。日記とか作品についてとか格言とか名言、ラジオの番組の発言。そしてライブについて。独りよがりにならずに自分の気持ちや解釈を書いて行く。妙な言い方ですけど、素人が書いたものとは思えない。
何と言っても全部じゃないでしょうけど、ほとんどの曲についてのエッセイ。その時の拓郎さんの状況やその曲への想い。自分がただのファンであり、拓郎さんがそういう熱いファンを疎ましく思っていることも分かって書いている。
自分が好ましからざるファンでありながら書かざるを得ない屈折した心理がどこか痛々しくもありいじらしさも感じさせる。どの曲に対しても複雑な愛情が溢れている。自分の人生から「吉田拓郎」を取ったら何も残らないと自覚している。
このサイトを知った時、分かったようなことを書いたりするのは控えようかなと思ったんですね。こういう人がちゃんと語らないといけないよなあ、という気分。そして何よりも文章がうまい。エッセイ集としても質が高い。
サイトを運営している方のお名前は女性なんですが、文章の人称は男性だったりする。どちらにしてもそれなりの修練というか蓄積がおありになる方でしょう。ここまで一人のアーテイストにこだわり続けるのは並大抵のことではありません。
アーテイストのサイトで言うと「中島みゆき研究所」という有名なサイトがあります。みゆきさんに関してのありとあらゆる情報、動きが集められている。公式のサイトよりも詳しいのではないか、と思えるくらい。
そういう情報性よりも「想い」が溢れている。こういうサイトが本になればいいのになと思ったりします。「アーテイスト活動終了」という宣言で関心を持つようになった若い人たちにも知ってほしいと思ったりしてます。
ということで。拓郎ファンなら必読。この方が表に出て来られることを。こういうサイトです。
今日のエッセイは「カハラヒルトン」。川端康成も登場してました。曲ですね。拓郎さんの「KAHALA」を。じゃ、お休みなさい。