偶然ですけどね。たまたま重なっただけ。「引退」する拓郎さんが最後に歌う姿を見せるという「LOVELOVEあいしてる」の最終回。7月21日は氷室さんが88年にソロデビューした日。そういう意味では氷室さんの記念日に番組が重なったということですが。
でも、氷室さんが音楽に目覚めたきっかけの一つが拓郎さんだった。バンドという意味ではビートルズで曲を作るという点では拓郎さんの影響が大きかったというのはこれまでに何度も発言してますね。
拓郎さんに影響された人は数限りないわけで、今、スーパースターと言われている人たちにも沢山います。音楽をやっている人に限りません。ただ、そういう話を「それは俺の問題じゃない」と避けてきたのも拓郎さんでした。
でも、いい番組でしたね。テレビ番組史上に残る音楽番組。何よりもKinki Kidsの二人があの番組を経験することで成長したきたというのは大きかったんじゃないでしょうか。エンタテインメントでありながら時代と人間のドキュメンタリーだった。
それまでテレビに縁がなかった人たちが出演していたのはひとえに拓郎さんに存在があってのことだった。それまでテレビに出ないアーテイストの象徴だった人が出ている。しかもミューシャンも一流。通常の音楽番組じゃないに決まってます。
拓郎さんが50歳になった時の番組でしたからね。それまでにやったことのないことをやろうと思った、という中で出てきたのが「テレビ」だった。衝突覚悟、始まってしばらく辞表を忍ばせてスタジオに行ってたのは有名な話です。
「引退」を決めてその最後のけじめをどうするか。それがあの番組だった。もともとそんなに「俺が俺が」じゃない自分らしい引き際、若い頃を回顧しない幕引き。じめっとしてなくて良かったんじゃないでしょうか。
あいみょんが拓郎さんのイメージを「もっとじめっとしてるかと」と思ったというのは愛嬌でしょうね。そういうイメージなんでしょう。あの言葉を聞いていて、1987年12月24日の渋谷公会堂での氷室さんの言葉を思い出したんですよ。
BOOWYの解散を伝えようとしたアンコールでのMC。「じめっとすんな、フォークのバンドじゃねえんだから」というあれです。拓郎さんもそういう終わり方が嫌だったんでしょうね。番組への「さよなら」の形を借りて自分の心境を伝えようとした。
拓郎さんと氷室さん、それぞれの「終わり方」と「引き際」。「LAST GIGS」という形でけじめをつけた氷室さんとアルバムとテレビ番組で明るく形にした拓郎さん。図らずも重なったという日でした。
氷室さんの方は「LAST GIGS」の名古屋公演が今日、配信されることになっていたんですが、時間が重なっていてやっぱり拓郎さんを優先せざるを得なかった。氷室さんはアーカイブでということになりました。
実は、今日はback numberのアリーナツアーの最終日の幕張メッセだったんですよ。拓郎さんも氷室さんも両方とも録画アーカイブかなと思ってたんですが、back numberのライブが清水依与吏さんの体調不良で延期になったんです。
最後の「LOVE LOVE」をリアルタイムで見た。番組開始当時は現場で見てましたからね。一緒に見ていたスタッフのことも覚えてます。そんなことも思い出してました。それも偶然の産物だったことになります。
というわけで、曲ですね。氷室さんが歌う「たどりついたらいつも雨降り」かな。やっぱりこの曲か。Kinkiと拓郎さんの「SAYONARAあいしてる
」。いい曲でしたね。Kinkiの成長を実感させてくれました。じゃ、お休みなさい。