という原稿を書いてました。共同通信の「80年代ノート」。85年ですね。週一回、一年をほぼ10回で辿ってゆくという長期連載。大まかに言って100回連載ということになりますね。ちょうど半分という感じかな。
85年はほんとに色んなことがあった。この間「ALL TOGETHER NOW」のことを書きましたけど、まだあの年の話が続いてます。尾崎さんのアルバム「回帰線」と「大阪球場コンサート」とかね。拓郎さんの「ONE LAST NIGHT」もありました。
自分で見てきたものが中心なんで、歌謡曲の話が多くない。このところ「80年代歌謡曲」が再評価されてブームっぽくなってますけど、そこはあまり触れてません。もっとシンガーソングライターやバンドの話が多い。
でも一つの時代という意味では表も裏もあるわけで無視しては通れない人たちもいる。おニャン子もその一つだと思ってました。で、尾崎さんと並べて書こうと思ったんですね。「制服」を挟んだ「光と影」みたいな感じかな。
突出した10代と平均的な10代。クラスで言えば突出した少数派の尾崎さんと大多数の日常だったおニャン子。1985年の裏と表、ということはイメージではすぐに浮かんでもなかなか原稿にならかった。時間かかりました。
4回くらい書き直したかな。放送作家出身なんで、根が「書き飛ばし」型なんです。じっくり考えない。そうは行かなかったですねえ。新聞記事なんで文字数が少ない。900字くらいかな。長い文章より難しいんです。
長い文章は勢いで書ける。書きながら考える余裕もある。一昨日送ったみゆきさんの「ラストツアー・結果オーライ」なんかはその例ですね。短いとそうはいかない。その中で起承転結をつけたりオチを考えたり。
新聞記者はそういう技に長けている人が多いですね。僕も下手な方とは思ってませんけど、年々その難しさを痛感してます。担当の記者の突っ込みの鋭さに鍛えられてます。いい加減な僕を許さないでください、ですね(笑)。
地方紙で掲載されてるんで、音楽に詳しくない人も多く読んでいる。そのバランスが一番難しい。マニアックにウンチクを傾ける方が実は楽でもあります。東京では読めませんが、珍しい新聞連載だと思います。
というわけで、時間、かかりました。曲ですね。おニャン子クラブ「セーラー服を脱がさないで」。秋元康さんのボックス「秋元流・虎ノ門編」の全曲解説で彼は「80年代で1,2を争うバカバカしい曲」と書いてました。
彼もあんな社会現象になるとは思ってなかったのかもしれません。そういう本人が意図しなかった「現象」という意味でも尾崎さんと重なるのかなと思いました。明日は鈴木雅之さんのサンプラです。じゃ、お休みなさい。