という本があるんです。みゆきさんが86年に発売した書き下ろしの短編小説集ですね。雑誌「ALL AREA」に書く「ラストツアー2020・結果オーライ」を書く参考にしようと思って読み直しておりました。
なぜ必要になったかというと、あの小説の中に「コーラスガール物語」というお話があるんです。みゆきさんのツアーや「夜会」には欠かせないコーラスで参加しているヴォーカリスト、杉本和世さんがモデルなんですね。
雑誌「ALL AREA」では前号で前編を書いてるんですが、その続き。ツアーの取材はツアー中に現場で行う。ツアーが終わってから改めての取材はしない。足りなくても足りないなりに書くというのがこれまでの姿勢だったんです。
みゆきさんの「ラストツアー」もそのつもりで臨んでいて前半はあの時に取材したことで書きました。でも、ツアーが中途半端、3分の1で終わってしまいましたからね。ちゃんとした内容にするには足りないことが多すぎる。
それがコーラスの杉本和世さんの話だったんです。84年から今までのほとんどのアルバム、ツアー、「夜会」と参加している。みゆきさんのツアーについて書くには触れておきたい人。でも、ツアー中にその機会がないまま終わってしまいました。
で、先日、追加取材をしたわけですが、手元にあると思っていた「女歌」が見当たらなかった。ここにある、と思い込んでいた場所に見当たらなかった。仕方なく当日は読まずに出かけたんですが、やっぱり読まないと書けない。
みゆきさんの初の小説ですからね。今読むと小説というより長編エッセイという印象も強いんですが、「夜会」のような「物語」としての完成度とは違う彼女自身の実生活が見えてくる面白さがありました。
有名なのは彼女が住んでいた外人用マンションの住人で殺されてしまった外人娼婦「ヘレン」を書いたお話しでしょうね。アルバム「生きていてもいいですか」に入っていた「エレーン」の元になった事件ですね。
小説の中には「コンサートツアー」を舞台にした「23:00発熊本発鹿児島行き急行バス」もありました。「コーラスガール物語」はみゆきさんが杉本さんに取材をして書いたもの。文中に「みゆき」「和ちゃん」という人称が使われてます。
杉本さんが加わった84年のツアー「明日を撃て!」は、みゆきさんが初めてエレキギターを持ったツアーで、当時のファンから「ご乱心」と呼ばれる時代の幕開けとなった時。話の中にその時の心境がリアルに綴られてます。
実を言うと僕が初めてみゆきさんのインタビューをしたのがそのツアーの前だったように思うんです。会ったのはもっと前ですけど、ちゃんとインタビューしたのはその時。つまり、杉本さんとは「みゆきさん同級生」になるわけです。
「ラストツアー」のルポは「最後のツアー取材」のつもりでしたからね。彼女の話は欠かせません。明日、そのことを書かないとね。その後、何とか普通に戻ってますけど、どっか頭がふらっとしてる感じがあったり。
あれだけ吐くと胃が荒れてるんでしょう。時々むかつきがあったり。思い出さないようにしてます。というわけで、みゆきさん「エレーン」を。アルバムのタイトル「生きていてもいいですか」はこの曲の一節です。じゃ、お休みなさい。