ムーンライダーズのアルバム聴き直し作業。一枚目から新作まで14枚聴きました。途中少し抜けてますが、アップルミュージックにあったのでまた時間を見つけて聴いて見ようと思います。面白かったです。聞きしに勝る超個性派バンドでした。
新作が出ました、ちょっと聴きました、という程度ではなかなか全貌を見せてくれない。ようやく色んなことが分かるようになりました。一言では語り切れないまさに史上最強のマニアックなカルトバンド。へそ曲がり、も付け加えましょうか(笑)。
こういうバンドやアーテイスト、他にいるかな、と思って浮かんだのが大滝詠一さん。70年代に自分の”ナイアガラレーベル”でやっていたことと重なりました。共通項は”シュミ”ですね。”シュミ・シュミ・ミュージック”。
売れるとか売れないということに捕らわれず”趣味”に徹する。好きな映画をモチーフにしたり好きな音楽をコラージュしたり、気になった洋楽をオマージュしたり。文化度は極めて高い。単に音楽だけというバンドでもない。
鈴木慶一さんのインタビューを読んでいたら、大滝さんや達郎さんと自分たちを比較した発言もありました。大滝さんや達郎さんは自分の好きな音楽を遡って追求する。自分たちはそうはならずにそういう音楽をやろうとする。
遡ると純化するわけですが、そうしない分、他の要素もたくさん入ってくる。おまけにムーンライダーズはメンバーが6人。それぞれがソロ活動も作詞も作曲もプロデユースもする。アルバムには全員の曲が入っている。
つまり、6倍の”シュミシュミ”。スケールも大きいし多角的かつ多面的。アルバムごとに世界が違う。その曲だけ知ってればその人たちを語れてしまうというハードルの低さがない。一旦入り込んでしまうと抜けられない。
何度か活動休止期間があって、80年代の休止の前に出したアルバムが「Don’t Trust over THIRTY」。つまり「30以上は信じるな」。30代になった自分たちが「30以上は信じるな」で5年後の活動再開のアルバムが「最後の晩餐」。
つねにどこかシニカル。アイロニカル。新作アルバム「It’s moonriders」もそんな作品。自分たちを「老人」に見立てている。アルバムの資料には「老齢ロックの始まり」とありました。音楽業界高齢化の先取り、というユーモアもあるでしょう。
はっぴいえんどとシンクロしていた時期もありました。同じ事務所でしたからね。わずか二年半で解散したはっぴいえんどと何度かの休止を経て46年というムーンライダーズ。興味深い比較だなあと改めて思ったりしました。
FM COCOLO「J-POP LEGEND FORUM」の5月の特集「ムーンライダーズ」。自分でもどうなるか見当がつきません(笑)。というわけで、曲です。新作アルバムの中ではっぴいえんどを思い浮かべた曲「彷徨う場所がないバス停」。
はっぴいえんどの「はいからはくち」を思わせる歌詞がありました。去年、松本隆さんの50周年武道館で鈴木慶一さんは細野さんや松本さん、鈴木茂さんと一緒に出てました。じゃ、お休みなさい。