デビュー40周年ツアー「年中模索」の府中の森芸術劇場。100本を超えるロングツアーの何と85本目。面白かったですねえ。彼らがこれまでにやってきたことの集大成。彼らにしか出来ない、真骨頂のようなコンサートでした。
コロナ禍でマスク、コールもレスポンスもない。一緒に歌うことの楽しさがない。そういうネガテイブな状況をどう逆手に取るか。マイナスをプラスに変える、ピンチをチャンスにしてしまう、という意味でも画期的だと思いました。
何が素晴らしかったかと言えば「構成力」。「ストーリー性」。ありえない状況をフィクション化、物語化してしまう。笑えない現実を笑える話に置き換える。「イエローサブマリン」と「ONE PIECE」をミックスしたようなお話にしてしまう。
そのお話しをなぞるだけじゃなくてバンドメンバー全員が登場人物になって話を進めてゆく。コンサートの一番肝心な「選曲」という要素をその肝に据えている。もともと「曲解説」が楽しみの一つになってましたが、そこに「物語」が絡んでくる。
新作アルバムのツアーですから新曲は増えるわけです。ベテランのアーテイストやバンドのファンの中には新曲は不要みたいな空気が流れることもある。新曲が多いほどライブの盛り上げに苦労する。そういう懸念を全く感じさせまんでした。
どんな曲をやるのかという興味を高まらせつつ新曲に意味を持たせる。客席との心理を巧みに織り込んだ仕掛けが次々に登場して一体感を増してゆく。オープニングとエンデイングが対になって「オチ」がつく無駄のない洒落た流れも拍手でした。
彼らの曲を知らなくても、コンサート自体が初めての人でも楽しめるというのは以前からそうでしたけど、そこに「ストーリー性」が加わった。コンサート全体が「お話し」になっている。まさにエンタテインメントそのものでした。
そういう「寸劇」みたいなものも前からありましたよね。彼らの武道館を初めて見た時の一瞬戸惑ったように思ったんですよ。当時、そういうロックコンサートはありませんでしたからね。でも、最近、その比率は減ってきてる感じもしてました。
ところが、ですよ。それが見事に合体した。彼らにしか出来ない、と思わされたのはそういう経緯もあってのことですね。今までやってきたことの集大成でありつつ真骨頂。このコンサートを楽しいと思えない人はかなり偏屈だと思いますよ(笑)。
85本目でしたからね。後15本強ということになるのかな。まだという人は是非。このツアーを見ずにスタレビは語れないでしょう。昨日、板橋で公演があった。連ちゃんです。でも、根本さんの声は出てました。
ライブ一筋。人生の全てがステージにある。お客さんに喜んでもらうことしか考えてない。頭が下がります。楽しいコンサートでした。というわけで新曲です。「約束の地へ」を。じゃ、お休みなさい。