インタビュー中に鳥肌が立つことがたまにあるんです。と言っても二の腕あたりで、全身とかじゃないですけど。思いがけなかった話とか、予想以上に劇的だったりする話に出会った時にそうなりますね。
今日、そういう瞬間があったんですよ。え、そこまでしたんですか、という新鮮な驚き。JUJUのアルバム「ユーミンをめぐる物語」についてですね。その物語はどんな風に始まったのかを聞こうとしていきなりでした。
何があったのかは、オンエアでということでここには書きませんが(笑)。でも、そう言われれば他に始まりは考えられないな、と思うものの、まさか彼女自身がそういう行動に出ていたとは思ってませんでした。
ただひたすら思い詰めていたという感じでしょうか。10代の時に初めてユーミンを聞いた時に始まった自分の音楽人生の一大転機の扉を自ら開いた。そうやって生きてきた人なんだなと改めて思いました。
思春期に聞いたユーミン、ニューヨークで聞いていたユーミン。いつも自分の傍にいて自分を新しいところに連れて行ってくれた。その曲が今の自分を作ってくれた。あの曲にあの時の自分がいる。どの曲にもそんな「物語」がありました。
そういうドラマは海外経験がある人の方が劇的なのかもしれませんね。世界中からあふれんばかりの夢と野心を秘めた若者が集まってくるマンハッタンでの日々。そこで聞いていた曲にまつわる「物語」。まるで映画のワンシーンみたいでした。
JUJUの話は機転が利いていてウイットがある。人の気を逸らさない話し上手。いつものインタビュー時間を大幅に超えてしまいました。そのことは分かっていたんですが、話を切り上げてまとめる、みたいにならなかった。なれなかった、ですね。
訊きたいことは聞いておきたいし、話しておきたそうなことはちゃんと聞かなければ失礼でしょうし。一人のアーテイストにとってこんなに劇的なカバーアルバムがあっただろうか、という感じでした。
でも、ですよ。話に引き込まれてしまって、一つだけ聞き忘れてしまったことがあるんです。彼女がこれまでにユーミンの曲の何をいつカバーしてきたかという年代別のリストという資料があったんです。
それを見ていたら、1985年に小田さんとユーミンと財津和夫さんで歌った「今だから」という曲があったんです。85年6月15日、国立競技場で行わた野外イベント「ALL TOGETHER NOW」の主題歌ですね。
当時、アナログ盤のシングルで出ただけで今もまだCDになってないんじゃないかな。幻の曲。今回カバーしてないのでアルバムの話では触れようがない。終わってからあの曲について訊こうと思っていて忘れてしまいました。
アルバムの話で頭が一杯。いつか機会があれば聞いてみたいです。あの曲をカバーしてる人に会ったのは初めてでした。というわけで、松任谷由実さん、小田和正さん、財津和夫さんで「今だから」を。じゃ、お休みなさい。