3月に発売のKinki Kidsの新曲「高純度romance」について雑誌「音楽と人」の取材を受けました。デビュー25周年の記念のシングル。作詞が松本隆さん。本来は本人が話をするのが一番いいわけですが、この感染状況、松本さんは東京に来ない。
編集長の金光さんが「風街とデラシネ・作詞家松本隆の50年」を読んでくれていて、あの曲の詞についてどう思うか色々聞かれてました。面白かったです。松本さんがどんなことを考えて書いたのか。話しながら思うことが色々ありました。
いい詞だなあ、とまず思いました。品があってきれい。言葉が光っている。そういう言葉も使われてました。松本さんならでは、真骨頂と思わされたのは単なる「25周年記念」のお祝いソングじゃないところですね。
おめでとうでも、良かったね、じゃない。Kinkiという主人公を想定して書いていながらそれだけじゃない。でも、KinkiKidsの二人というのはこういう「高純度」な二人で、25年という時間がどういう「純度」だったかが見えてくる。
松本さんが書いてきた青春ソングは明るいだけじゃない翳りや儚さという詩情が流れているんですが、そういう青春がどういう時間を経て今に至っているかが分かる。「言うこと」と「言わないこと」の「際」、「光」と「影」の両方を歌ってる。
第一線でこれだけ比類のない活躍をしてきた男性アイドルはいないわけで、そこには山あり谷ありなのは容易に想像できます。それも踏まえて書いている。こういうやりとりがあったんだろうな、と思わせてくれる優しいリアリテイある。
デビュー曲「硝子の少年」の壊れそうな青春と二人の関係25年経つということの貴重な「純度」。でも、Kinkiだけに留まらない。長い時間を過ごしてきたどんな「2人」にも当てはまる。そういう「関係性」への応援ソングに思えました。
というような話をとりとめなく話をしてましたが、どんな風にまとまるでしょうか。誌面をお楽しみに、ということになりますね。で、書こうと思ったのは、そういうことがありました、ということと別に編集長のことなんです。
金光編集長。実は浜田省吾さんのファンで「武道館、泣きました」というんで「どの辺で見てました」と聞くと「外」という答えが返ってきました。「外聞き」ですよ。会場の外で漏れてくる音を聞いている。それだけで涙が止まらなかった。
浜田さんファンということは前から知ってましたけど、そこまでとは思わなかったんですね。かなり感動的な話でした。書いていいですよ、ということで書いてしまいました。でも、「特別な人」だからこそ浜田さんの取材はしたことがない。
これもある種の「高純度romance」なのかもしれませんね。「romance」という言葉は男女の恋愛を意味するだけじゃない、もっとロマンテイックな言葉だという意味もあるんだと思いました。松本さんの歌詞は置くが深いです。
こういう話は楽しい、と改めて思えた時間でした。というわけで、Kinki Kids「高純度romance」を。じゃ、お休みなさい。