2020年の1月から6月まで24本が予定されていた「ラストツアー・結果オーライ」のライブアルバム、昨日発売になりました。二枚組全21曲。みゆきさんのライブアルバムでは初めて演奏曲全曲がそのまま並んでいるアルバムです。
ライブアルバムは87年の「歌暦」がありましたけど、あれは国技館で行われたスペシャルライブ。通常のツアーのライブ音源がCDになることは2008年までなかった。その後も「一会」や「縁会」が出てますけど、丸ごとじゃなかったですからね。
つまり選んだ曲を収めている。「SELECTION」と銘打たれてました。何で今回初めて全曲のライブアルバムになったかというと、これはもう明快ですね。「ラストツアー」だったから。しかも最後まで行けなかった。
東京や大阪などの大都市でのライブをやめるわけじゃない。ツアーは「ラスト」だけど「引退」ではない、ということはステージでも冒頭で話をされてました。でも、そういう大都市じゃない地方の街にはもう行けない。
チケットを持っていたのに見ることが出来なかったわけですからね。かろうじて行われた8本の客席にいらした方以外は、どんなライブだったのか想像するしかない。幻のライブになってしまった。それも心苦しい、ということでしょう。
幸い、記録用に映像も音源も残していた。その音源を使ったこういうライブだったということは伝えたい。全曲を出すということ以外にはなかったんじゃないでしょうか。それだけ意味のある選曲であり曲順なんです。
最後ならではの選曲。地方の方にとっては「最後のみゆきさん」ですからね。キャリアを総括して今の心境をつづったような、二度とありえない選曲。それもヒット曲をやってます、という”サービス選曲”じゃありません。
例えば「糸」の後に「ローリング」という曲が続いている。それもなかばメドレー的に。二度と歌えないような「糸」の余韻に浸る間もなく「ローリング」が始まる。「僕は荒野にいる」ですからね。「糸」とは対照的です。
70年代とはどんな時代だったのか、とか、今、自分の歩んできた道と今の状況をどう感じているかが伝わってくる。感動的です。土曜日に収録するNACK5「J-POP TALKIN’」で紹介するんで聴き直してましたけど、涙ぐみそうになりました。
一曲目が「一期一会」。彼女にとって「ツアー」とはどういうものなのか。ライブ作品が少なかったのも、ライブは一期一会。その会場のお客さんとでしか作れない。何か所かだけの録音でそのツアーを語ることはできない、という理由ですね。
2008年に初めて形になった時は、ようやくどの会場でも変わらないクオリテイのライブが出来るようになったから、と言われてました。でも、MCは入れない。ツアーの呼び物のひとつ「おてがみコーナー」もその時だけとなってますね。
で、一曲目が「一期一会」。これしかないという感じ。そこからアンコールの最後まで「終わり」と「始まり」が繰り返されてゆく。最後は「はじめまして」ですからね、「ラストツアー」でありながら。
一曲ごとに意味がある。こういうライブアルバムは記録、という意味でも貴重です。大団円にならなかったことがより価値を高めたと言っていいのではないでしょうか。僕も同行して書くことになってたんですが、断念ですね。
でも、3月にシンコーミュージックの「ALL AREA」でかなり長い特集を組んでくれることになりました。以前、浜田さんのツアーの特集をした雑誌ですね。もう少ししたら改めて瀬尾さんの話も聞きます。2月の前半はその原稿書きになりそうです。
というわけで、「ラストツアー・結果オーライ」から「ローリング」を。「糸」の後の曲です。今日も感染者数が2万人を超えました。かなり怖いです。じゃ、お休みなさい。