放送は昨日でした。時間が遅かったですからね。一日遅れになりました。矢沢さん、元気そうだなあというのが一番率直な感想ですね。72才になる年のツアー。ロックミュージシャン、ロックシンガーとしては日本最年長ツアー。
72歳でこんなにロックしている人がいますか、という彼の言葉には「仰せのとおり」という答えしかない。もはや孤高のスーパースターとしかいいようがありません。衰えを知らない。顔のそげ方や皺も年輪を感じさせました。
ということが証明された番組ですね。そのための番組だということであればそれでいいわけですが、ドキュメンタリーとして見ると色々考えるところがあったわけです。これしか作りようがなかったんだろうな、という感じでした。
あれだけのスーパースターを扱うことの難しさ。本人の存在感やカリスマ性が強ければ強いほど作り方が限られてくる。本人が歌っているシーンがあればそれだけで番組が成立してしまう。他の要素の比重が少なくなってくる。
ステージで歌っているシーンとリハーサル。オフの時のトレーニング風景。音楽観やツアーについてのコメント。他に入れようがない。しかも30分足らずですからね。番組として工夫のしようがない。
スーパースターのどこを切り取るか。ツアーの何を見せるか。ライブアーテイストとしての傑出をどう構成してゆくのか。かといってサイドストーリー的な要素だけだどファンは満足しないでしょうし。音楽ドキュメンタリーの難しいところですね。
自分の話をしてしまうと、いつも思うのは「映像で出来ないことをどう書くか」なんですね。映像は本人が歌っているシーン、語っているシーンがあればそれで成り立ってしまうわけですが、そうじゃないストーリーがあるわけです。
ツアーは本人だけじゃ成り立ちませんし、支えている人たちがいる。その人たちの中に入って自分でも体験することで何かが見えないだろうか、と思ったのが「ON THE ROAD AGAIN」だったりGLAYの「夢の地平」だったりしました。
カメラが撮影している時間は限られてますからね。でも、それぞれの時間はそれ以外にもあるわけで、そこで起こることも多い。そういうことも拾いながらツアー、ライブを書けないか。でも、本人以上の説得力はなかなか持てないわけです。
テレビ番組だと地味で成り立たないでしょうね。ファンの人たちも望んでない。結果的にこういう番組にならざるを得ないんだろうな、と思って見てました。半分は勿体ないなあという羨望もありつつ、ですけどね。
2月2日にみゆきさんのラストツアーのライブアルバムが出るんです。2020年に行われて最後まで行けなかった。全24本中、8本で終わってしまった「幻のツアー」。あのアルバムには翁長裕さんが監督したドキュメンタリーがついてます。
一時間弱なんで、「情熱大陸」よりもゆったりしてますけど、視点がもう少しミュージシャンよりのドキュメンタリーになってますね。ツアーのドキュメンタリーはスタッフとの信頼関係がないと作れません。テレビでは出来ないでしょう。
というわけで、曲ですね。コロナ禍での矢沢さんのツアーで「トラベリンバス」がどうだったかは知りたかったです。タオル投げのない「トラベリンバス」。作詞・西岡恭蔵さん。FM COCOLO「J-POP LEGEND FORUM」の恭蔵さん月間は昨日、3回目が終わりました。来週から晩年です。じゃ、お休みなさい。