一冊は「旅に歌あり」ですね。僕の本棚にはずっともう一冊「うたのことばが聴こえてくる」という本が並んで置いてありました。でも、そう言えば持ってたよなあ、という程度で、ほとんど忘れてました。
「旅に歌あり」は70年代、「うたのことばが聴こえてくる」は80年代の発売。それからも40年は経ってる。住んでいる家も変わってるし、仕事場を作ったのも10数年前。本棚も同じじゃないのにその二冊はそうやって並んでいたことになります。
まだ正式に決まったわけではないそうですけど、「旅に歌あり」の復刊で寄稿してもらえないか、という話があって、その原稿を書いてました。何を書こうかなと思ってその二冊を読むでもなく目を通していたら、嬉しい言葉があったんです。
「うたのことばが聴こえてくる」は雑誌「新譜ジャーナル」の連載記事をまとめたものですね。「旅に歌あり」が自分の詞を素材にしたものだったのに対して、他の人が書いた歌について触れているという点では面白さが違います。
その本に甲斐よしひろさんと浜田省吾さんとの対談が載ってました。岡本さんは、甲斐さんとの話の中で「友人の田家秀樹」と言ってくれてた。本が出た時には当然、見ていたんでしょうけど、これだけ時間が経ってるますからね。
岡本さんの書いた歌で、当時、鮮烈だったのが拓郎さんの「LIVE73」の中の「望みを捨てろ」だったんですね。今でもそうですけど、普通は「望みを捨てるな」「希望を捨てるな」ですよ。でも、岡本さんは「望みを捨てろ」と歌った。
彼は何を捨てろ、と言ったのだろう。なぜそう歌ったのだろう。今になれば分かる気もするんですね。「売れっ子作詞家」になってついてくる商業的な成功、名誉とか地位とかの生臭い諸々。そういうことを求めてしまう自分に言い聞かせていた。
彼は、それを「捨てて」旅に出たわけです。浜田さんとの対談では「歌の届き方」という話をしていて、それを読むと何で彼が「旅」をしていたのかが分かります。彼は自分の歌が届いてほしい人たちに会いに行っていたんだなと思いました。
というようなことを書いてました。仮に復刻が幻になったとしても、自分でうまく書けたなと思えるものになりました。岡本さんに「タケちゃん、文章上手くなったね」と言ってもらえるかもしれません。
というわけで、明日は「西岡恭蔵伝」の一週目の収録です。曲ですね。拓郎さんの「望みを捨てろ」。もうそんなに捨てないといけない高望みはありませんが、断捨離の歌として聞くとリアルかもしれません。じゃ、お休みなさい。