公演は昨日と一昨日。開演が5時だったんで、帰って書こうかなと思ってたんですが、2時間半を大きく上回る熱演。雨も降ってたしさいたま新都心で食事をして戻ったら、それなりの時間になってました。
素晴らしいライブでした。サザンとは違うソロの世界を満喫。等身大の桑田さんの心情や根底にある音楽。サザンと変わらぬ根っからのエンターテイナーならではのサービス精神。声量も豊かで朗々としていて適度に渋くしゃがれてる。
「高齢者になっちゃいました」と茶化してましたけど、ネガテイブな意味での年齢は全く感じさせない。衰えるどころかより風格が備わってきている。今が一番充実していると思わせるライブでした。
やっぱりサザンは「バンド」ですからね。バンドとソロとは同じ完成形でも自由度が違うというんでしょうか。ミュージシャンとのやりとりや演奏の呼吸。一人一人とのセッションがうねっているようなライブはソロならではでした。
先日、4年ぶりの新作も出てますしね。何だっけ。「ごはん味噌汁海苔お漬物卵焼きfeat.梅干し」だ。長いのもお得意。略称「ごはんEP」ですね。新作が中心にあるから逆に他は自由、みたいな感じもあったんでしょうね。
新作は、桑田さんの庶民性、大衆性、人柄がにじみ出るような暖かい曲が多かったですからね。こういうとんでもない社会状況の中だからということもあったんでしょうし、ほのぼのとした日常の賛歌が多い気がしました。
「金目鯛の煮つけ」とかね。テレビラマのような暖かい家庭。彼の中の理想の家庭像でもあるのかもしれないなと思ったりするEPでした。そういうハートフルな曲とアメリカ南部の泥臭さが溢れているブルージーなロック。年期が入ってました。
かと思えば社会の不合理を憂いたシンガーソングライター的な心情吐露があったりね。懐の深さやスケールの大きさ。人としての真っ当さ。自分が大病を経験していることもあるでしょうし。人生経験が一つ一つの歌に説得力になってるようでした。
ずっと拍手をしながら見てしまいましたからね。そう、拍手ね。コロナ禍でのライブでの自分の中の発見ですね。会場がそうだからでもあるんでしょう。声を出せない代わりに誰もが心から拍手をしている。それが伝わってくる。
関係者席で拍手する人は多くないですからね。そういう遠慮がなくなった。自然な気持ちで手が叩けるって、こんなこと言ってること自体が「業界ズレ」ね(笑)。それにしても壮大で計算されていて円熟の見事なロックショーでした。
ということで、まだまだ先が楽しみにな桑田さんでありました。曲ですね。新作の「ごはんEP」から「金目鯛の煮つけ」を。金目鯛、お正月につきもの。後一か月あまりで今年も終わりです。じゃ、お休みなさい。