FM COCOLO「J-POP LEGEND FORUM」の11月特集「岡村靖幸」の二回目の収録。90年に出た4枚目のアルバム「家庭教師」が初めてアナログ盤になるということに合わせてエピックから出た全アルバムを聴き直してみようという一か月。
5週ありますからね。エピックから出ているのは「家庭教師」を入れてちょうど5枚。毎週、一枚ずつ紹介していってます。で、明日は、87年のデビューアルバム「Yellow」と88年の「DATE」。それぞれ一週ずつ。つまり二週録りですね。
当時、ライブは何度か見たんですが、インタビューも一回しかしてない。アルバムも記憶が薄くなってる。でも、当時の彼の存在や才能がちゃんと評価されてないことはわかる。自分でも聴き直してみたい、というのが動機ですね。
と言って一人でえ話すほどの材料もないわけで、ゲストにエピックの当時のプロモーターをお呼びしてます。「家庭教師」の時は、今、ソニーミュージックダイレクトの福田良昭さん。今回のアナログ盤「家庭教師」の担当者。
その二枚は、当時のプロモーター、西岡明芳さん。福田さんは、当時はいなかったんですが、2003年に5枚をリマスタリングした時の担当でもあるわけで、助っ人として参加。二人ゲストです。台本を書くために改めて聴き直してました。
「Yellow」と「DATE」。87年と88年。僅か一年の違いなのに作風はかなり違います。「Yellow」は、どこか素朴さも感じさせる青春路線。ファンク、というよりダンサブルなシンガーソングライターという感じ。でも、色んな要素がある。
そういう意味では「DATE」でしょうね。え、こんなこと歌ってたんだっけ、と改めて思いました。「岡村ちゃん」と言われた破天荒さとナイーブさが同居している。80年代終わりのバブルに向けて浮かれまくっている世相も色濃く出ている。
みんな浮かれてた。夜の街を遊び狂っていた。20代の若者があんなに性を謳歌していた時代はなかったかもしれないと再認識させてくれる。「性風俗」がトレンドになっていた時代ならではのアルバムでした。
六本木でタクシーが捕まえれないという時代ですよ。デイスコで朝まで踊ってそれから飲みに行って、元気のいいカップルはホテルに向かって、帰る人もタクシーが捕まらなくてまた飲みに行くという今では考えられないような日々のアルバム。
岡村さんは、23歳。聞いている女子中高生にとっては初めて経験する大人の世界だったのかもしれませんね。そういうど真ん中の女性たちを主人公にした歌もある。でも、彼はその中で「純情」を模索していたりする。
こういうリアリテイのアルバムは今も昔もなかったなあ、と。彼の異才ぶりを再認識しました。88年、村上龍さんが、風俗で働く女性たちを描いた問題作の小説「トパーズ」を書いてベストセラーになった年ですよ。
そうか、岡村さんは、80年代の音楽シーンの村上龍だったのか、と。彼を語る時「和製プリンス」という形容が多いですが、あまりに皮相じゃないでしょうか。彼のことを正当に評価している人はどのくらいいるんだろうと思いました。
昭和から平成。後20年くらいしたら、きっと違う語られ方をするのではないでしょうか。というようなことを思いながらゲストをお迎えします。というわけで、岡村靖幸さん、アルバム「DATE」から「イケナイコトカイ」。じゃ、おやすみなさい。