NACK5「J-POP TALKIN’」のインタビュー。冬美さんの初めての”コンセプトアルバム”「Love Emotin」が出ます。彼女の話を聞くのは去年のシングル「ブッダのように私は死んだ」の時以来ですね。
でも、あの時はシングルだったんで番組ではなく「毎日新聞」でした。番組だと8曲はかかりますからね。今回は11曲入りのアルバムなんで番組になりました。面白かったですよ。坂本冬美さんという歌い手の真骨頂を見た気がしました。
”コンセプトアルバム”というのは彼女にとっては初めて。テーマは「情念」。今まで歌ってきた演歌ともポップスとも違うというエモーショナルなアルバム。「ブッダのように私は死んだ」があって生まれたアルバムというのがよくわかります。
何が変わったか。「ブッダ」は、死んだ女性の歌でしたからね。愛する人に殺されれしまったという設定自体が稀有な歌。人を”愛する”ということと”殺める”ということが一つの中に歌われている。でも、ラブソング。桑田さんだから書けた歌。
冬美さんには、「Love Songs」というポップスのアルバムと「ENKA」という演歌のアルバムもありましたが、そのどちらでもない。意外性もありつつ思い切った選曲になっていて聴き応えありました。
意外性の4曲。鬼束ちひろさんの「ヒナギク」、平井堅さんの「哀歌(エレジー)」、松任谷由実さん「真夏の夜の夢」、大友裕子さん「傷心」という4曲。演歌でもポップスとも分けられない熱唱。でも、ポップス系の人には歌えないでしょう。
そんな話をしながら、彼女が”あっち側・こっち側”という言葉を何度も使ったんですよ。松本さんのことを書いた「風街とデラシネ・作詞家松本隆の50年」には、何度も出てきます。本の話をする時に必ず使う言葉なんですね。
つまり”あっち側”は”芸能界・演歌界””こっち側”は”フォークやロックの世界”ですね。かなりお互いが意識しあっていた。今は、ほとんど使われてないと思ってましたけど、彼女が使っていた。しかも、そういう意識は今もある、というんです。
あの頃の言葉ではなく、今の自分の立場として使っている。”演歌”を支えているという自負を見た気がした。そういう人が”こっち側”の、それも難度の高い曲に挑戦している。そういうガチンコの女性歌手はいないよなあ、というインタビューでした。
オンエアは11月の前半二週ですね。アルバムの中のほぼ全曲について語ってくれてます。これぞ坂本冬美、という話が聴けると思います。というわけで曲ですね。元は鬼束さんが彼女のために書いたという曲、「ヒナギク」を。じゃ、お休みなさい。