昨日ですね。先月、FM NACK5「J-POP TALKIN’」でインタビューした大阪出身の3人組、Saucy Dogの初のホールツアーの東京公演。渋谷公会堂二日間。僕は二階だったんで、三階は見えなかったんですが満席だったんじゃないでしょうか。
石原慎也さん(V・G)、秋澤和貴さん(B)、せとゆいかさん(D)。詞曲を書いているのが石原さん。8月の終わりに5枚目のミニアルバム「レイジ―・サンデー」が出たばかり。番組のインタビューはそのアルバムについてでした。
彼らの最大の特徴は「女々しさ」でしょうね。「女々しい」という言葉が女性差別になるかどうかわかりませんが、いわゆる”男らしさ””女らしさ”という分け方で言えば”男らしく”ない。そう、”女々しい”というより”男らしくない”バンドでしょうね。
新作アルバム「レイジ―サンデー」はラブソングのアルバムなんですが、そこに描かれているカップルの関係性が面白いんですね。男の子が振り回されている。好きな女の子や自分を振った女の子の気まぐれな言葉を真に受けて真剣に悩んだりする。
男の子が振り回されるラブソング。それもどこか軽い自虐性があって微笑ましい。そのことに自覚的で、そこから抜け出そうともしている。優しい男の子の心情みたいなものがよく出てる。若手のバンドの中ではあんまり例がないと思います。
敢えてあげればback numberでしょうね。失恋ソングのリアリテイ―という意味でこの10年では抜けてました。自虐・未練・後悔。男のいい加減さを歌わせたら彼らの右に出るバンドはいないでしょう。
あそこまで自虐的じゃないですけど、ヴォーカルの声の違いも大きいかな。石原慎也さんの声は言葉は悪いですけど、どこか情けなさそう。泣き唄、みたいな感じがある。でも、曲によっては叫んでいるものもあって、それが余計切々と聞こえる。
バンドも3人だけですからね。音圧や音量的にはそんなに威圧的じゃない。演奏も力強くない。でも、バンドの意気はよく合ってる。NACK5のインタビューで一番驚いたというか好感を持ったのは筋金入りのツアーバンドだったことですね。
インデイーズ時代にワゴン車に炊飯器を持ち込んで自炊しながらツアーを回っていた。車中泊もしょっちゅうだった。一か月2万円で活動していたこともある。全てはバンドのためだった、という苦労を経験している。
そういう経験がお涙頂戴の演歌っぽくなってない。歌っているのが、そういう若者の恋ですからね。ステージでもそんな大変だった頃の話は一切出ない。それよりもこうして演奏できてることがいかに幸せかを伝えようとする。
客席のほとんどが若い女性。彼女にとっては放っておけない感じなのかもしれませんね。声を出せない状態だったこともあるんでしょうが、アイドルやスターに対しての歓声が飛ぶというライブじゃなかったです。
以前見たバンドで言うと、やっぱりback numberとクリープハイプがそういう感じでしたね。母性本能を刺激するバンド。女性が応援したくなるバンド。これからどうなってゆくんだろうと思います。
以前、書きましたけど、彼らを初めて見たのが平成最後の日の日比谷の野音。何の予備知識もないままに、平成最後の日を野音で迎えたかった、という理由で見に行ったバンド。大雨だったんです。あの日が伝説の日になるといいな、と思いつつ。
昨日は緊急事態宣言最後の日か。でもね、いきなり反動でみんなが羽目を外すとまた同じような状態に戻ってしまいますからね。解放的になるのもほどほどに、ということで。2021年、後三か月です。
10月27日、KADOKAWAから「風街とデラシネ~作詞家松本隆の50年」が出ます。本の中に出てくる曲を選んだ連動のCDはソニー。同時発売です。プロモーションで忙しくなりそうです。
というわけで、Saucy Dog、アルバム「レイジ―サンデー」から「リスポーン」。一つの曲の中に男性と女性の会話が入ってます。振り回される男の子(笑)。じゃ、お休みなさい。