88年7月21日がソロデビューの日。今、配信が終わったばかり。最後には今後の活動の予告のような英文のメッセージもありました。あっという間の78分。楽しい時間でした。2016年の「LAST GIGS」の最初の会場、京セラドームのライブだったんですが、選曲が全く違いました。
開演前、会場入りするところから始まって、リハとか楽屋の映像も流れたんで京セラのライブを見るという感覚だったんですが、当日の流れに捕らわれない選曲は、全く違うライブを見ているような気になりました。
これは配信ならではですね。ライブ配信は、どうしても今、そこで行われているというまさに”ライブ感”が重要だと思ってましたけど、その一歩先に行ってる。現実に行われたことのない架空のライブとして再構成することが出来る。
去年の10月の氷室さんの還暦の誕生日に日本テレビが試みたバーチャルライブもそういう感じでしたけど、あの時は花火があったりという仕掛けを楽しむという側面もありました。今日はそういう演出的なことよりライブに特化した印象でした。
つまり、選曲と映像。どの曲をどういう流れで見せるか。配信ならではの楽しみ方を感じてもらえるか。曲を聴かせるという意図みたいなものは、こうやって一人で見ている聴き手を意識しているようにも思えました。
会場で客席にいて一緒に盛り上がるという楽しみ方じゃない曲との向き合い方、というんでしょうか。妙な言い方ですけど、”ライブを見た”というより、”会った”という感じがしましたよ。そういうパーソナルな曲を選んでいたからでしょうけど。
でも、こういう人は結局、他にいないよなあ、というのが最大の感想ですね。歌や演奏、ライブの空間。ああいう歌を歌える人も、あんな渾身のパフォーマンスする人も、全存在を注ぎ込んだ迫真の一挙手一投足に至るまでですね。
「LAST GIGS」の最後の東京ドームは、もはや人間技ではないくらいの完璧さでしだけど、京セラは最初の会場でしたからね。やってみないと分からないという緊迫感が張りつめてました。そういう生々しさは東京ドームとは違いました。
パソコンの画面で見ているとそういうところはダイレクトに伝わってきますね。それも”会った”感じがした要因かもしれません。でも、あれから5年ですよ。もう5年なのか、まだ5年なのか。コロナ禍が、そういう時間の感覚をおかしくさせてます。
還暦の氷室京介。どんな形で再登場するんでしょうね。5年経ったなあ、になるのか、全然変わってないね、になるのか。どちらにしろ時間は経つわけですから、何らかの変化はあるでしょう。それを楽しみにしたいと思います。
表情をしみじみと見てしまったのは「IF YOU WANT」の時かな。年輪を感じました。深み、渋み。男の顔にはそういう時間が刻まれるものです。あの先に、次の氷室さんがいるように思うのは僕だけでしょうか。33歳、おめでとうです。いい時間でした。じゃ、お休みなさい。