インタビュー二本立て、無事に終わりました。川崎鷹也さんとGRAPEVINE、片や今年最も話題の新人、弾き語りのシンガーソングライター。片やデビュー24年。17枚目のアルバムという実力派バンド、GRAPEVINEという対照的な二組でした。
しかもともに初対面という共通点。スタイルは全く違いますが、初めてインタビューするという人に対しての姿勢という点では変わりがなかった、と言っていいかもしれません。もちろん、プレッシャーの度合いはかなり違いますが。
相手が新しい人だと、リスナーも同じように白紙の状態ですからこちらもそんなに色んなことを知らなくても許されます。でも、キャリア24年というバンドはこれまでの積み重ねもあるわけで、そこを知らないことは大きなハンデになります。
5月26日に通算17枚目のアルバム「新しい果実」が出ます。これまでにない起伏に飛んだ大胆な試みが随所にみられる力作。そのアルバムに特化して聞くことで、そのハンデが乗り越えられたらな、と思って臨んだんですが、実に面白かったです。
GRAPEVINEは田中和将さん(V/G)、西川弘剛さん(G)、亀井亨さん(D)という3人組。ベースとキーボードのセッションを入れて5人のバンド。詞は田中さん、曲は、今回は田中さん5曲、亀井さん4曲、5人で1曲という振り分けです。
彼らの活動に一本通っているのは”媚びない”ということでしょう。売れる音楽や流行っている音楽と距離を置いて、そのために分かりやすくするという迎合を一切してこなかった。言葉の選び方が特にそうだったと言っていいでしょうね。
というほどちゃんと聞いていたわけじゃないんで、印象、ですけど。新作アルバムは、その真骨頂のようなアルバムだと思いました。ポップスの歌詞には絶対に登場しないような固有名詞が、随所にちりばめられている。
こんなに謎の多い歌詞は日本のロックのアルバムで初めてかもしれない、というくらい。この言葉は何だろう、この使い方にどんな意図があるんだろう。こんなに検索しながら聞いた日本のアルバムも思い当たりませんでした。
例えば、一曲目に「ねずみ浄土」という曲がありました。旧聖書のアダムとイブの話から日本昔話の「おむすびころりん」、ミルトンの「復楽園」まで登場する。情報量の多さもさることながら、「ねずみ」でカミユの「ペスト」まで連想させる。
偉そうな言い方をすれば、”連想出来る人には”という仕掛けの中で使われてる。気づかない人は、面白い曲だなあで終わるかもしれない。「光と闇」「洋風と和風」「日常と非日常」のカオスのようなスパイラルが全編に仕込んである。
「キリスト教」と「仏教」という言い方も出来るくらい。難解と言えば難解ですが、日本語ですからね。意味が分からなくても音楽として聴ける。演奏も曲もそういう世界を楽しんでいるようにも聞こえる。
今までご縁のなかったバンドではあったんですが、彼らの面白さに目覚めさせてもらいました。彼らのデビューミニアルバムのタイトルを借りれば「覚醒」でありました。一筋縄、二筋縄でもいかないバンドの固有の世界に触れた気がしました。
もちろん、例によってあれも聞けなった、これは聞きそびれた、という反省点は色々ありますが、これまでのファンの方がお聞きになっても納得して頂けるインタビューになったんじゃないでしょうか。
というわけで、アルバムの一曲目「ねずみ浄土」を。「おむすびころりん」のお話なんて子供のころ以来でしょう。「みんな連休前」と書いた一連の予定がやっと終わりました。じゃ、おやすみなさい。