氷室さんのファンクラブ会報「KING SWING」の取材。これまで氷室さんを撮影してきたカメラマンの人を彼が撮った作品をアーカイブ掲載しつインタビューしてゆくという連載。最終回が、平野タカシさん。
今、色んなメデイアに使われている氷室さんの写真のほとんど、特に2014年の横浜スタジアムや2016年のLAST GIGSのライブ写真は全部が彼、と言っていいでしょう。一瞬を切り取ったカットは今にも動き出しそうな気迫に満ちてます。
ライブ会場では何度も一緒になっていて、雑談でこれまでのキャリアとか聞いたりはしてましたけど、レコーダーを置いて話したりするのは初めて。彼の写真をリスペクトしてますし、いい写真だなあと思うことも多かったんで、いい時間でした。
彼の写真のどこに惹かれていたかというと、切り取られた一瞬の動きに凝縮されたスリリングなドラマ、というんでしょうか。”カッコよさ”の意味が違う。もちろん”カッコいい”わけですが、それだけじゃない。
”生きざま”というと抽象的なんですが、撮った人がその一枚に込めたものが伝わってくる。語っている感じがする。氷室さんの写真なんだけど、そこに彼自身の”生きざま”も投影されている。
彼がそんな風に生きてきたかどうかは別にしてですよ。どんな生き方をしたいと思っているか、どんな人間に共感しているか、みたいなことまでが感じられる。彼がそういうことを”見よう”としてなかったら撮れない気がするんです。
彼は、98年から2015年までかな、自分の撮影した写真を10巻の「MEMENTO」という作品にして氷室さんに贈ったという話がありました。そこまで彼を突き動かしたものが何だったのか、話していて理解できたような気がしました。
その写真集自体は見てないんですが、その中の何枚かにくぎ付けになったことがありました。普通のポートレートでは見せない苦悩している表情とか、凝視しているぎ瞬間とか。それも”目”で語らせている。
アーテイストのこういうギリギリの精神状態を感じさせる写真は見たことがない。こういう表情や瞬間を言葉で語るとしたら僕には無理かもしれないと。芸術的な精神的ドキュメンタリーという気がしたんです。
でも、それは尽きるところは”氷室京介”というアーテイストがそういう生き方をしている人だということになるわけですが。平野さんは、毎年、広告写真家協会、APAの賞を受賞してます。そういう作風が一貫しているということなんでしょうね。
というような話をしてきました。原稿はまだ先ですが。それにしても渋谷は若い人が多いです。井の頭線もJR中央線もそう。春めいたぽかぽか日曜日、出かけたくなる気持ちはわかりますが、怖気づきますね。
とういうわけで曲ですね。平野さんがジャケットを撮影した「IN THE MOOD」から「SAY SOMETHING」。もうライブで聞くことはないんでしょうね。じゃ、おやすみなさい。