そんなに大げさなことを書こうとしているわけじゃないんですけどね。「SONGS」で”ずとまよ”というのかな、ずっと真夜中でいいのに、をやってたんで、ふっと思いついたのがそんな言葉でありました。
途中から見たんで番組全体の話は出来ませんが、インタビューや歌っている最中に顔を写してませんでしたよね。番組には出るけど、顔は写さない。以前、ずっと真夜中でいいのに、の配信ライブを見ましたけど、あの時もそうでした。
バンド名が「真夜中」ですから、そういう雰囲気を作った、ということもあるでしょう。素顔を明かさない。そういう例が増えている。CSの音楽チャンネルのカウントダウン番組でもアニメのミュージックビデオがほんとに多い。
アニメの質が高いのも大きいかもしれませんね。曲想を増幅する良質なアニメが作られている。YOASOBIもヨルシカもそうかな。ずっと真夜中でいいのに、もボカロに曲提供していた人達ですからアニメには親和性が強いんでしょう。
そういう曲がヒットしているというのが去年の最大の特徴でしょうね。そこにライブが行えないという要素が作用した。音楽を生で聞く機会がなくなってPCやスマホになった。ライブやっていないということがマイナス要素ではなくなった。
ライブをやらなければ顔を出す必要もない。聞く方もそうですよね。音楽に「肉体性」が要らなくなった。でも、これがどうなるんだろう、と思うんです。そこに「肉体性」が加わることがあるんだろうか。
そういうネット世代、SNS世代の音楽の最大の革命児となったのが米津さんでしょう。でも、彼は、バーチャルからリアルに「移民」してきた人でした。出世作「YANKEE」というのは「移民」の意味ですからね。
彼は「肉体性」の音楽に移って行った。ミュージック映像で自ら踊っていたのもそんな例でしょう。今、カウントダウン番組に流れている「カナリヤ」は実写の映像が素晴らしい。監督は誰だろうと思ったら「万引き家族」の是枝裕和監督でした。
人の一生を思わせる映像には「生身の儚さ」みたいなものも感じさせます。今流れているミュージック映像で感動したのは菅田将暉さんの「虹」なんです。出産に立ち会ったという設定の彼の泣き顔が素晴らしい。まさに「肉体性」「生身」でした。
この「匿名性」音楽が、一時的なものなのか、リアルを凌駕してゆくのか。これが2021年の関心になりそうです。ライブが普通に行われるようになった時に、顔を見せない彼らがどう変わってゆくのか。面白い時代になったのかもしれません。
ということで、「MUSIC TIMELINE・2008年」。サブタイトルは「ダンスリボリューション・EXILE PERFECT YEAR」。「肉体性」そのものがEXILEでしょう。曲ですね。菅田将暉さんの「虹」。あの泣き顔は彼の演技力を証明してます。じゃ、おやすみなさい。