2月15日発売。書いたのは渡辺雅敏さんという方。と言って知らない人ではありません。20年近く前から面識のある方。何を隠そう、RADWIMPSのレコード会社のA&R。宣伝や制作のチームをまとめる人ですね。
RADWIMPSは今年がメジャーデビュー15年。それに合わせて発売になった本。”初の公式ノンフィクション”と銘打たれてます。最近しつこいですけど、インタビュー集ではありません。正統派な読み物です。
面白かったのは、レコード会社の担当でありながら”仕事感”が全くない。デイレクターになりたての時に足を棒にして新人を探していた時のこととか、最初に彼らを知った時のこととか、契約に至るまでの不安や緊張や興奮がとっても素朴に生々しい。
一人の新人でイレクターが未知の才能にほれ込むということがどういうことなのか。まだデビューの予定もないアマチャアバンドにとって、プロになるというのがどういうことか、当事者でしかわからないことが率直に綴られてます。
当事者ですからね。打ち合わせでどうだったかとか、スタジオで何があったかとか、外部の人間では逆立ちしても知りえないことばかり。気負うでもなく大げさにするでもなく、それでいて実感がこもっている本でした。
「公式ノンフィクション」ですからね。でも、サクセスストーリーでも美化しているわけでもない。バンドの中の葛藤とか、野田洋次郎さんと他のメンバーのリアルな関係とか、ここまで書くんだ、というところまで踏み込んでます。
それが嫌味にも暴露にもなってないのは、一重に彼が心底彼らの事が好きという土台があるからですね。野田さんの後書きにもそれは書かれてました。自分の人生の一部になってる感じでした。
音楽を読む、読んでから聞くと曲が違って聞こえる。そんな本であることは間違いないです。発売が思ったより近かったんでFM COCOLO「J-POP LEGEND FORUM」の「最新音楽本特集」の2週目で取り上げようと思います。
デビュー前、アマチャア時代から2008年までの5年間。「人生出会い編」と打たれてますからね。まだ先もあるんでしょう。こういう伴走者、記録する人がいるバンドは長続きするんだろうな、と思います。
というわけで、明日は「MUSIC TIMELINE」の「2008年」の収録。EXILEの「PERFECT YEAR」というのがテーマ。色々勉強しました。彼らが何をやろうとしたのか。そういうことだったんだ、と。その頃のデイレクターに話を聞きます。
曲ですね。RADのその頃の曲を。2006年のシングル「有心論」を。”誰も端っこで泣かないように地球を丸くした”というフレーズに惹かれた記憶があります。その人のいるところが地球の真ん中。そういう地球であってほしいのにね。じゃ、おやすみなさい。