30年経ってないかなあ。でも少なくとも25年は経ってるでしょうね。氷室さんのファンクラブ会報誌「KING SWING」の連載アーカイブ企画で会ったのが、当時、雑誌「B・PASS」の編集者のIさん。女性です。
氷室さんの写真を撮っていた歴代のカメラマンをたどるという連載なんですね。その人が撮影した代表作を掲載して、その写真を撮ったカメラマンがどういう人なのか。どんなことを思いながら撮ったのかとか、インタビューしてゆくんです。
これがかなり面白い。カメラマンとはインタビューやライブ取材の現場ではよく一緒になったりするわけで、大げさに言ってしまえば戦友、みたいな感じもするんですけど、ちゃんと話したことのない人の方が多い。
ライブの後の打ち上げやツアー先の食事で同じテーブルになったりすることもありますけど、そういう時はみんなで盛り上がるという感じですし。そんな席でいつ頃から撮り始めてるんですか、とか聞かないですよね。
そういう話を交えながら写真のことを書いてゆくと、何だかカメラ雑誌に原稿を書いているみたいな気分になる。で、次号で取り上げるカメラマンが桑本正士さんという方。彼が88年に出した氷室さんの写真集がテーマなんです。
87年と88年に二回、海外で撮影したという写真集。間にBOO/WYの解散が入ってるんですね。BOOWY時代とソロとにまたがった写真が収められている貴重な写真集。ソロとして初。ただ、桑本さんはすでになくなってしまってるんです。
代わりと言っては何ですが、担当の編集の方に話を聞くことになった。それが当時「B・PASS」の編集をやっていたIさん。僕も当時、氷室さんではなかったですけど、何度かご一緒したことのある女性でした。
その頃の編集者、いなくなりましたからねえ。雑誌自体がなくなってしまった。あの人、どうしてるんだろうなあ、という人がたくさんいます。業界にいない、とか。なくなったらしいよ、とかね。
その写真集の話、桑本さんの話、その頃の氷室さんの話とかいろいろ聞いていた中で、その頃のライターの名前とか出てくる。再会感が強かったのは、その人というだけじゃなくて、その頃の人たちの話が出来たという方が強かったのかもしれません。
この間、故人の夢をよく見る、という話を書きましたけど、80年代、90年代の雑誌の人とかも出てくるんですよ。やっぱり、コロナがそうさせてるんでしょう。人に会えない。新しい出会いが少ない。意識がその頃に戻ってゆく。
音楽雑誌黄金時代。彼女もあの頃はお金が使えましたから、みたいな話をしてました。氷室さんのその写真集は、ロンドン・ウイーン・プラハ・ニューヨーク・東京という街を回って撮ってるんですよ。
桑本さんは、はっぴいえんど関連やRC、70年代のロックミュージシャンをたくさんお撮りになっていた方で、氷室さんの写真も80年代、90年代ぽくない。BOOWYとは全く違うと言っていい写真ばかりでした。
彼は1947年生まれ。僕より一つ下。69歳でなくなってました。カメラマンもずい分なくなったなあ、と思ったり。もちろん、そんなに感傷的な原稿は書きませんけど。でも、「どうしてるのかなあ」という気分は深まるばかり、という感じでした。
ということで、収録は、「SEKAI NO OWARI」スペシャル。選曲も原稿も自分でもいいと思いましたが、しゃべり手がね、って僕ですけど(笑)。もうちょっとうまくなりたい。手遅れでしょうけど(笑)。
曲ですね。そうか、彼女に氷室さんの曲で好きな曲、というのを聞き忘れた。ほんとにこういうのが多いんです。終わってから気づく。しっかりしろよ、ですよね。氷室さんの「たどり着いたらいつも雨降り」を。じゃ、おやすみなさい。