というアルバムがあります。発売は2002年。アルバム用の10曲の詞を松本隆さんが書いてます。作曲は、筒美京平さんはじめ、本間昭光さんとかキリンジの堀込高樹さんら様々。藤井隆さんは、言うまでもなく吉本の芸人さんですね。
スタジオ・ジブリの機関誌の連載「風街とデラシネ・作詞家 松本隆の50年」の締め切りが明後日。今回扱うアルバムの一枚がこれなんです。実を言うと、この連載までちゃんと聞いたことがありませんでした。
2002年ですからね。藤井隆という人に対してもほとんど関心がなかったと言って過言ではありません。テレビはあまり見ませんし、バラエテイは全くと言っていいほど見てません。関心というか、視野に入ってなかったです。
でも、松本さんがいい詞を書かれてるんです。改めて聞いて感心しております。感心してる場合じゃないんですけど、自分の視野の狭さに落ち込んだりしながらですね。あの方は、歌い手がお笑いだろうが歌謡曲だろうが、詞のクオリテイが全く変わらない。
僕らが知ってる「松本隆」は氷山の一角、ほんの一部だということを知れば知るほど認識させられる。痛感させられるといった方がいいでしょう。その全体像の大きさは間違いなく史上最強。全貌を知っているのは彼自身だけでしょう。
「ロミオ道行」もまさにそんな一枚。70年代・80年代に書いていた青春ドラマのワンシーンのような等身大のラブソング。小道具やさりげない心理描写に舌を巻くばかり。でも、「舌を巻く」じゃ、原稿になりませんからね。
この間、京都に行った時に彼にも話を聞いたんですが、「真剣に作ったからね」と言ってました。音楽をジャンルで聞くことになれてしまうと、こういうアルバムは見過ごされるんだろうなあ、と思います。
この連載は、あと数回で書き終えることになるわけですが、ここまで来てやっとわかった、という感じ。自分の無謀さに呆れながらくらいついている必死で格闘してる状態ですね。明日も続きです。何とか目安をつけないと。
というわけで、藤井隆さん「代官山エレジー」。”ジャンケンに焦ってチョキを出したから愛も破けた”、には思わず「うまい!」とうなってしまいました。そういう小憎らしいようなうまさが詰まったアルバムです。じゃ、おやすみなさい。