三代目日本青年館。僕が言ったわけじゃないです。館内のアナウンスでそう言ってました。コンサートのタイトルに「竣工三周年」とついてましたから、新しくなったんだなと思ったんですが、”三代目”だったんですね。
日本青年館というのは、千駄ヶ谷の明治公園の一角にあるコンサートホールだったんですね。青山のビクタースタジオの前の公園ですね。収容は1300名くらいだったのかな。そんなに大きいホールじゃなかったんですが、場所が良かったですからね。一時は人気ホールでした。
忘れられないコンサートが結構あります。80年代が多いかな。ユニコーンのデビューコンサートとか佐野元春さんの「東京マンスリー」とか、小山卓治さん初ワンマンとか、米米クラブを初めて見たのもあそこでしたね。
最初のホールは青年館、そこから渋公というパターンが多かったですね。でも、あの青年館が二代目だったということなんでしょうね。六文銭は、青年館が出来た時にやってると言ってましたけど、それは初代ということなんでしょう。
場所も変わってました。神宮球場の前。地下鉄の駅からは近くなってました。新しいホールだなあという感じ。でも、ソーシャルデイスタンス、間引きでした。きゃくせきの年齢層はもちろん高かったです。
それが独得の空気になってたなあ、という印象。小室さんが自分で、いつもは小さい場所でやることが多いんで、久々のホールと言ってましたけど、そういうたたずまいもあったんでしょうね。こういうホールコンサートはめったにないなあ、というライブでした。
ステージにはモニターとそれぞれのメンバーのマイク二本だけすからね。ともかくシンプル。珍しくパーカッションも入った5人。アコーステイックギターとハーモニー。年齢、年季。全てのテンポがゆったりしてる。全てに自然体、力が抜けてました。
小室さんは先月、77歳になりましたからね。喜寿ですよ。「老化ギャグ」というと変ですけど、物忘れをネタにするもの微笑ましく聞こえる。人柄というやつですね。でも、歌は退化も老化もしてない。特に、新作アルバム「自由」からの曲は時代と対峙してました。
六文銭の良さは、70年代よりもこの10年の方がよくわかるという感じなんですね。若い頃の浅薄さでは気づかないことがたくさんある。アルバム「自由」には、そういう曲がたくさん入ってます。
丸々2時間以上。「こんなにやるとは思ってなかったでしょう」と言ってましたけど、音楽的な意欲は衰えてない印象。そう、アンコールで「出発の歌」をやったんですよ。四角佳子さんや及川恒平さんも歌うという4人バージョン。初めて聞いたように思いました。
年を取るのは仕方ない。でも、そういうことも含めて引き受けてゆく。そんなコンサートでした。というわけで、六文銭で「出発の歌」。まったく違う味わいの曲になってます。じゃ、おやすみなさい。