そういう歌詞があります。浜田さんの「DANCE」。この間、オフィシャルYOU TUBEでスペシャル映像が公開されてました。9月9日に発売になった新録音バージョンのレコーデイング風景とこれまでのライブ映像。無料配信でありました。
で、聴いていてふっと飛び込んできたのが、そのフレーズ。そういうものなんですよね。何気なく聴いている時に、ある一節だけ違って聞こえる。まさにそれでした。歌詞が新しくなっているわけじゃないんですけど、当時はそんな風には聴こえなかったでしょうね。
今年だからでしょうねえ。明らかに今までと違う。今までに経験したことのない何かが始まっている。今までのことが全部過去になってしまっているように思える。もう10月ですよ。今年は何だったんだ、と改めて呆然とする。
3月から9月までの7カ月。一体何をやっていたんだろうと。仕事はしてるわけですけど、そういうことじゃないんだよなあ、という感じが強い。色んな事が切り離されてしまっている。仕事をしている時の充実感というか、手応えみたいなものが感じにくくなってる。
おまけに訃報も相次いでますしね。ゴールデンカップスはマモル・マヌーさんだけじゃなくてルイズルイス・加部さんもなくなってしまった。急速に色んなことが終わろうとしている。2011年の震災の後がそういう感じでしたよね。
柳ジョージさんとかジョー山中さんとか、桑名正博さんとかね。今年は震災とは違う意味でもっと深刻ですし。何かが消えてゆくみたいに訃報が続いてるように思えます。10月かあ、という感じもいつもの年とは違う風が吹き抜けていく感じがする。
そういう気分だから「DANCE」をああやって新しくしたのかもしれませんよね。リズムが四つ打ちのダンスビートになったのも、そういう「エール感」なんでしょう。8ビートは青春の疾走感みたいなリズムでしたからね。
心臓の鼓動みたいな強いビート。60代のダンスビート。失ったこと、過ぎてしまったことを悔やんでも始まらない。こんな夜だから、こんな時代だから。早く走れなくても身体は動く。そんな「DANCE」。
以前、何を書いた時かな。「陽のあたる場所」の文庫本のあと書きかな、はっきり覚えてないんですが、「母が、今度浜田さんのライブを見に行けるのはいつだろう、それまで元気でいられるだろうか、と泣いた」というお便りを読んだ時のことを書いたんですね。
そのお母さまの気持ちが今は、よく分かる。そんな2020年の10月であります。この間、夢の中で泣いてました(笑)。というわけで、湿っぽいな(笑)。残り3か月。こんな夜は「DANCE」、です。じゃ、おやすみなさい。