というアルバムがあるんですよ。発売は、1993年。知らなかったんです。大竹さんの3枚目のアルバム。まだ歌い手として今みたいな評価を得る前、個性派女優として脚光を浴び始めた頃。こんなアルバムがあったんだ、と思わされてます。
どんなアルバムかというと、クラシックなんです。モーツアルトやベートーベン、バッハやメンデルスゾーン、ドビッシーといった錚々たる人たちの曲が選ばれてます。そして、そういう曲に松本隆さんが詞をつけてます。選曲もプロデユースも彼です。
この間書いたシューベルトの「冬の旅」の翌年ですね。松本さんは、ポップスの作詞をお休み状態の期間でした。この間、神戸に行って話を聞いたのは「冬の旅」についてでしたからね。その時は、このアルバムは知らなかったんです。
知らないことは自慢にも何にもならないんですけどね。で、その後、「冬の旅」の当時のデイレクターを探して話を聞いていた時に、「大竹しのぶでもう一枚作ったんですよ」と言われて、「え、そんなアルバムがあったんですか」ということになりました。
泥縄でしょう。締め切りは来週ですからね。同じ頃に姉妹編のようなアルバムが出ていた。何とか松本さんに追加取材が出来ないだろうか、と事務所に相談したら、一昨日ですよ。たまたまテレビの収録でとんぼ返りで東京に来る、というんです。
その番組の収録の前に少し時間を頂いて、補足取材したわけです。で、昨日、アルバムが手に入りました。大宮のNACK5から戻ってきて聞いて驚いた次第です。大竹さんの声がまさに天使の歌声でした。
アルバムに載った彼女のエッセイには、このアルバムで歌う事に開眼した、というようなことが書かれてました。女優でも歌い手でもない歌。松本さんの言葉がまたすごい。生と死の瀬戸際を綴ったようなスピリチャルな言葉。ポップスの歌詞じゃなかったです。
でも、ポップスとしても聴ける。クラシックを聴いているという厳めしさはありません。「冬の旅」は、歌い手さんがクラシックの人でしたからね。でも、「天国への階段」は、大竹しのぶさん。宗教的なポップアルバムという感じでした。
それにしても「作詞家・松本隆」は大きい。巨人。僕らが知ってるのはほんの一部。氷山の一角、と改めて思い知らされます。書けるかなあ、と思いつつ。というわけで、そのアルバムの中から「悲しみの果て」。
ベートーベンの「悲愴」に詞がついた曲。そんなことは知らなくても聴き入ってしまいます。というわけで、これから雨になるんでしょうね。関東地方でもかなりの雨になるみたいです。じゃ、おやすみなさい。