連日です(笑)。いやー、時間がかかりました。70年代のエルビス。昨日の続きです(笑)。映画三昧、音楽活動を忘れてしまったんではないか、という60年代を68年の「TVショー」でケリをつけてからの音楽への復帰。その突破口になったのが69年から始まったラスベガスのショーでした。
映画「エルビス・オン・ステージ」になったコンサートですね。白いジャンプスーツにもみあげ、というアイコンになったステージ。多分、日本で一番ポピュラーな姿でしょう。60年代にコンサートらしいコンサートをやらなかった彼がステージに帰ってきた。それが70年代ですね。
でも、その頃の彼がちゃんと音楽で評価されてきたか、というとそうでもない。あのイメージが独り歩きしてどんな音楽活動をしていたかは、あまり語られてない。僕も含めてです。「オン・ステージ」は何度も見ましたけど、それで終わっていたと言っていいでしょう。
昨日、今日、色々聞き直しました。こんなに色んな歌を歌ってたんだという発見。新しいものから古いもの。それでいて何でも歌うというランダムさはありません。古いブルースやR&B、ゴスペルやカントリー。アメリカのルーツミュージックから今のヒット曲。選曲に必然性があります。
その上で、どんな曲でも自分のものにしてしまう。圧倒的というのはこういうことを言うんだ、という歌のスケールの大きさとドラマ。「歌心」そのものの迫力と堂々たる説得力。70年代はその円熟の軌跡です。今でもこんなシンガーはいないよな、という傑出したものばかり。
ただ、ですよ。70年代にそういう風に受け止めていたかというと、否、という感じです。時代とマッチしたとは言いにくかった。69年、ウッドストックですよ。ニューロックにシンガーソングライターの時代。エルビスは保守的なアーテイストに見えてたんだなあ、と思いました。
70年代、彼は、夫婦仲に亀裂が入ったり、健康状態を損ねたりということが重なりました。その頃歌った歌には「別れ」を歌った曲が多かったりします。どれも切々としてる。ゴスペルのスピリチャルな陰翳が彼自身の心境に聞こえてくる。
つまり、あの当時、エルビスを正面から受け止めるには、僕らが若かった、子供だった、ということなんだ、と今日、改めて思いました。という話が結論ですね。でも、楽しい一か月でした。色んな事を思い出しましたし、新しい発見もありました。
いつか、自分の番組で「プレスリー特集」というのをやってみたかった。若かったら、クラブの「エルビスナイト」というDJをやってみたかったんです。念願がかないました。ラジオをやっていたご褒美をもらった気がします。
というわけで、曲です。「My Way」を。実は、シナトラの「My Way」は好きじゃなかったんです。若い頃、スナックであの歌を陶酔したみたいに歌うオヤジにだけはなりたくない、と思ってました。エルビスのは違います。
もっと悲しくて、もっと切なくて、もっとしみじみとした哀愁がある。自分の人生を慈しんでいるような万感の思いが伝わってくる。40代そこそこであんな歌を歌ってたんだなあと思います。でも、この年で自分の思春期を再確認できたことが嬉しかったです。じゃ、おやすみなさい。