二か月間連続したFM COCOLO「J-POP LEGEND FORUM」の「ライブ盤」特集。明日が最後の収録。9週目ですね。どうやった終わろうかと思って思いついたのが、ユーミンと達郎さん。順番で言うと達郎さんとユーミンですね。
達郎さんの89年に出たライブアルバム「JOY」とユーミンの96年のライブアルバム「Yumi Arai the Concert with old friends」。前半が達郎さんで後半がユーミン。その順番はキャリアに沿ってます。達郎さんのシュガーベイブはユーミンの二枚目「ミスリム」に参加してます。
ポップス不遇の70年代にいち早く成功したのがユーミンで、シュガーベイブもそこに合流する形で注目されていったという経緯があります。パイオニアに敬意を表する格好の並びですね。それでいて共通点が色々ある。締めくくりには、この組み合わせしかないなと思いました。
どんな共通点か。時代が重なっている。達郎さんがシュガーベイブを結成したのが73年。アマチュアの自主制作盤「ADD SOME MUSIC TO YOUR DAY」を作ったのが72年。ユーミンのデビューシングル「返事はいらない」が72年。アルバム「ひこうき雲」が73年です。
ユーミンの「ミスリム」にシュガーベイブが参加していただけじゃなくて、「コバルトアワー」や「14番目の月」のコーラスアレンジは達郎さん。関係は深い。初めてシュガーベイブを見たのは75年1月の厚生年金の小ホールでしたけど、ユーミンがゲストで出てました。シュガーベイブには「ユーミン」という曲もありました。
という客観的なことはもちろんありつつ、もっと個人的な意味もあるんです。このライブ盤特集は、いつのまにか、自分のライブヒストリーにもなってきてしまいました。しまいました、なんです。段々そうなってきた。で、この組み合わせです。
シュガーベイブは四谷のロック喫茶「デイスクチャート」の営業終了後に行われていたセッションがもとで結成されたバンドだということはよく知られてます。で、僕は文化放送の番組を10本以上担当してましたから、その喫茶店が仕事場みたいになってたんです。昼間原稿を書いてました。
ある日、ビーチボーイズのカバーが流れてきて、レジに「これ、誰ですか」と聞いたら「学生の10枚限定自主制作。売ってますよ」と言われて買ったんです。それが「ADD SOME MUSIC TO YOUR DAY」だったんです。77番でした。
シュガーベイブとあの時のアルバムとは結び付かなくて、しばらくして知った、という具合でした。そのアルバムが出て来たんですよ。今までずっと見つからなかった。CDを台湾に送って、今まで開けてなかった段ボールに入ってました。
ユーミンは76年の春から半年間、彼女の文化放送の番組の構成を担当してました。その時に、荒井由実時代の3枚のアルバムにサインしてもらったんです。そんなことしたのはその時が最初で最後でしょう。そのアルバムも出てきました。
で、もう一つの共通点。ライブ盤が少ない。達郎さんは、3枚目の「Poppin Time」と「JOY」しかない。ユーミンは86年の「DA・DI・DA」と「Yumi Arai the Concert with old friends」しかない。でも、二枚の意味が違います。
「JOY」は80年代の10年分のライセレクション。「Poppin Time」は、理想的な環境とは言いにくい中での収録。まだ不遇期でした。ユーミンもたった一度の同窓会ライブを収録している。ともに生涯一枚のライブアルバムと言っていいでしょう。
そんなこんなでの最終週。アナログ盤も持っていきます。写真を撮ってもらおうと思います。番組サイトでアップしようと。コレクターじゃないんで、そういうことを自慢する柄じゃないですが、本邦初公開ね(笑)。
ということで曲ですね。荒井由実さん「ミスリム」の中の「生まれた街で」。あの曲と「やさしさにつつまれたなら」は目から鱗でした。そんな話も出来れば、と思ってます。じゃ、おやすみなさい。