先日の美里さんに続いて、今日も対面。スタジオではなく、彼らの事務所でした。デイレクターと僕の二人だけ。レコード会社のスタッフも同席しないというこじんまりとした雰囲気。でも、いいインタビューでした。
自分でそう思えることってあんまりないんです。たいてい、あそこをこうすれば良かったとか、なんであそこで質問をやめてしまったんだろうとか、悔やむことの方が多い。それは相手のせいとかではなく100%僕の問題なんです、
聞かれた方は、みなさん真摯に答えて頂けるんですが、そのリアクションに自分で納得できなかったりする。そういう心残りがまったくありませんでした。前田さんも言ってましたけど、対面だったことが大きかったと思いますよ。
彼も「こうやってちゃんと人と話すのは何カ月ぶりだろう」と言ってましたからね。メンバーとのやりとりもリモートだそうですから。一つ一つの質問に丁寧にゆっくりと答えてくれました。リモートみたいにタイミングが合わないみたいなこともなかったです。
テーマは7月8日に出る37枚目のアルバム「日本の夏からこんにちは」。16年ぶりの日本題のアルバムです。これが良いアルバムでした。デビュー35周年という記念の年と2020年という異常自体が重なり合ったアルバム。こういう状態になってから書いたと思える曲もありました。
TUBEは、作詞が前田さん、作曲が春畑さん。今回は全曲が曲先。コロナで身動きが取れなかったために思いがけなく時間があった。それぞれの曲に三パターンの詞を書いた、という話をされてました。こういう年だから感じる夏。50代になったから思う夏のアルバムです。
「日本の夏からこんにちは」は音頭ですからね。盆踊りの夏。「月が出て出た腹も出た」と歌ってました。そうやって笑いながら、でもシリアス。2020年の出来事を歌ってます。アルバムの最後に「Route567」という曲があるんです。
最初、タイトルだけ見た時は「567号線」という道路があるのかなと思ったんだす。国道567号線、みたいな。でも、調べたら県道567号というのはあるけど、こんな風に歌になるような道じゃないな、と思ってふっと思ったのが数字なんです。567。ゴロナ。え、コロナかと。
そう思って聞くと涙が出そうになりました。「馴染のカフェやライブハウスも今はドア閉ざしている」。まさにこの5月が歌になってる。「こんなに急に景色が変わるとは思ってなかった」とかね。ドライブソングに託された2020年の心境だなと思えました。
そんな曲にまつわるエピソードとか、35年というキャリアの中で体験してきたこと。”夏バンド”と言われたことの葛藤とか。こんなに自然に率直に話してくれるんだ、という感じでした。久々のインタビューを噛みしめながら受けているようでした。オンエアは7月後半二週です。
こういうインタビューが出来ると、この仕事をしていて良かったな、とか、もうしばらくやってみようかな、という気になれます。ありがとうございました。ということで、曲ですね。「Route567」を。戻らない夏を愛おしみつつ、この道の先に新しい光が待っていることを。じゃ、おやすみなさい。