FM NACK5「J-POP TALKIN’」のインタビュー。リモートで二週分収録しました。明日、6月9日に発売になるアルバム「パピヨン~ボヘミアン・ラプソデイ―」についてのインタビュー。面白かったです。話に熱が入ってました。
インタビューするのは二回目。2018年のアルバムの時以来。でも、全然違いました。なぜかというと、アルバムのせいですね。今までと力の入り方が違う。今年がデビュー20周年。しかも「初のポップスアルバム」と銘打たれてます。
念願の、だったんですね。どんな風に念願だったか、ということが話の主要テーマ。子供の頃に聴いていた音楽とか、やりたかった音楽とか、今、一番、歌いたいこととか。多分、テレビのバラエテイや歌謡番組では話さないようなことばかりでしょう。
アルバムが14曲。そのうち「ボヘミアン・ラプソデイ」があって、既発曲が3曲。他の10曲が新曲なんです。最近のアルバムにありがちな、シングルが半分というような作りじゃない。このために作りました、というアルバムじゃないんです。
一曲目から最後の曲、「ボヘミアン・ラプソデイ」までがライブのような流れになってる。ミュージカルや映画の始まりのようなオープニングから最後までに起承転結がある。音楽のタイプも色々あるんです。EDMと言われるエレクトロなダンスミュージックやR&B、4ビートジャズ。
フォークロックやポップバラード、アニメ風歌謡ロック。それでいて、「歌いたいこと」が一貫している。自分で詞を書いた曲もありました。今まで付き合ってきた作家だけじゃなくて、いきものがかりの水野良樹さんや上田正樹さんもいる。
そういう人たちが書いたものが、ぶれてない。まるで彼が書いたみたいな自分の言葉になってる。それが一番の感想でした。なぜ、そうなったか、丁寧に話してくれました。いつも創作ノートを持ち歩いてることや、作家の人とちゃんと話し合ったこととか。
作家にお願いして、上がってきたものを歌いました、という作り方じゃなかった。誠実なアルバムです。そう見られてないんだろうなあとも思いました。20年間、大変だったでしょうね。やっと踏み出した、という実感がこもってました。
演歌を歌うのはずっと怖かった、という話は前に聞いたことがあったんです。それが、とっても納得できた。なぜ、彼の歌にすごみがあるのか、という答えを聞いたような気がしたんです。歌に対して逃げてないというのかな。ごまかしてない。
演歌系の歌い手さんはうまい人が多いですけど、そういう”小手先感”がない。それは、「怖さ」のせいか、と思ったんです。「怖さ」を知ってるから手を抜けない。抜かない。それは、「ポップス」を歌っても変わらないでしょうね。歌に緊張感がある。
「ボヘミアン・ラプソデイ」も普通のポップス歌手では歌えない「濃さ」ですよ。もちろん、それは「好き嫌い」に直結もするんでしょうけど、日本語であれだけ堂々とした歌になるのは、やっぱり「怖さ」を経験してきたからでしょう。
でも、僕にはもう「ポップス」も「演歌」もないんじゃないかな、と思いました。これまでのファンの中には離れる人もいるんでしょう。そういうことも含めた「覚悟」を感じるアルバムでした。インタビューのオンエアは、6月20日と27日です。
というわけで、氷川さんの「ボヘミアン・ラプソデイ」を。この泥臭さはポップス歌手には出せません。じゃ、おやすみなさい。