いきなりでしょう。今、初台の「新国立劇場」で上演中のお芝居。つかこうへいさんの代表作の一つ。10年ぶりなんだそうです。つかさんは、その時に公演中に癌を発病し、講演後になくなったという作品でもありますね。ニッポン放送開局65周年公演です。
というほど知りません。上演パンフレットを読んで知りました。付け焼刃ですね。ひょんなことから見せてもらえることになって今日、行ってきたんですが、面白かったですねえ。何も知識がなかったから余計なんでしょうけど、かなり感動的でした。
舞台は60年代の終わり。学園闘争末期。ひょんなことから全共闘の委員長に祭り上げられた女子学生と機動隊の隊長と全共闘作戦参謀との恋。ロミオとジュリエットの学生運動版みたいなストーリー。主演が、欅坂46の菅井友香。色々話題になってますね。
でも、そういうことが見たかったわけじゃないんです。つかさんがあの時代をどう描いたのかを見たかった。これも改めて知ったんですが、今回の主役は第八代なんだそうです。お芝居の好きな方にはそれだけの長寿作なんですね。すみません、無知で。
今まで見ようと思わなかったのは、学園闘争モノということだったからでしょうね。あの頃を知っている人間として、そういう作品には複雑なものを感じることが多かったんです。辛くなったり、白々しくなったりね。
でも、そういう次元じゃなかった。色んな事が劇画的に誇張されていて、それが現実よりも生々しくリアルになっていた。感情の動きが凝縮されていた。フィクション、お芝居なればこそでしょうね。
何よりも面白かったのは、機動隊の人たちの描き方ですね。学歴もない地方出身者とエリートの学生。”狂犬”と言われた最強の第四機動隊の隊長と学生憧れの全共闘作戦参謀の生い立ちとその関係。二人と女性委員長をめぐる恋と革命の三角関係ですよ。
彼女の名前は神林美智子。60年安保で国会前でなくなった東大生・樺美智子さんがモデル。彼女の中での恋と革命。世界革命を目指す学生の地に足のついてない青臭さと機動隊の泥臭いまでの愛情や友情。台詞は全編絶叫調。すごかったな。熱っぽかったです。
最終決戦の国会前で、全国の学生たちは次々に射殺されてしまったりする。そういう設定は現実にはなかったわけですけど、香港がありましたからね。若い人たちにもそんなに荒唐無稽に感じなかったんじゃないでしょうか。
そう、この話ををしないといけないんだ。曲も挿入されてるんです。長渕さんとかCHAGE&ASKAとかがさりげなく使われてたりする中に浜田さんがありました。それも2曲。え、と思ったところで流れてきた。
初演が74年だったそうです。ということは、あれは、いつごろから使われているんだろうと思いました。つかさん、浜田さん聞いてたんだ、とか。それも発見でした。同じ時代の匂いがあるのかもしれません。報われなかった青春への哀悼、みたいなものかな。
ということで、曲ですね。その曲名を書くとネタバレになるのかな。それはやめて。頭脳警察にしましょうか。「世界革命戦争宣言」を。じゃ、おやすみなさい。